日立ソリューションズは、社会生活や企業活動を支えるソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

「人」こそが、SX実現の原動力 個人の働きがいと組織の成長

社会やビジネスの取り巻く環境が目まぐるしく変化するいま、SXを推し進めていくためには「人」の力が必要不可欠です。

個人の働きがいと、組織の成長。この両方を実現していくことがこれからの会社経営にとって重要となってきます。自分らしい挑戦を通じて、SXの実現に貢献していくために。日立ソリューションズが考えるこれからの人的資本経営をご紹介します。

株式会社日立ソリューションズ
常務執行役員 人事総務本部長
(兼)CHRO※1(兼)CDEIO※2 (兼)CRMO※3

※1 CHRO:Chief Human Resources Officer
※2 CDEIO:Chief Diversity, Equity & Inclusion Officer
※3 CRMO:Chief Risk Management Officer

半田 浩晃

1987年に日立製作所に入社し、コーポレートや事業部門で人事勤労業務に従事。日立システムズ、日立中国現地法人での勤務を経て、2023年に現職就任。

半田さん
イノベーションもSXも、「人」から
SXを進めるにあたり、「人財」が果たす役割をCHROとしてどのように捉えていますか?

半田:まず日立グループでは、環境・幸福・経済成長が調和した「ハーモナイズドソサエティ」の実現をめざしています。その中でも、デジタル技術を活用し、新たな価値を提供していくことが、私たち日立ソリューションズのミッションです。

一方で、私たちを取り巻く社会に目を向けてみると、その変化は、かつてないスピードで進んでいます。もはや未来を正確に予測することは、ほとんど不可能だといってもいいでしょう。こうした時代において、イノベーションを生み出し、さまざまなステークホルダーとともにSXを進めていくために、私たちが何よりも重要な資本だと位置づけているのが「人財」です。

つまりこれからは、人こそが価値創出の源泉になっていく、ということですね。そのような時代の変化に対して、どのような人財戦略を考えていますか?

半田:まさに人財こそが価値創出の源泉だと捉えています。特に求められているのが、変化に迅速かつ柔軟に適応し、自ら主体的に仕事に取り組んでいける人財です。人財マネジメントにおいても「管理」ではなく、「人財の持つ力を最大限に引き出す」ことで、働きがいと挑戦する文化を醸成していくこと。それこそが、私たちの考える新たな人財戦略であり、当社の新経営計画と密接に連携した人的資本経営のあるべき姿だと考えています。

集合写真

3つの視点でひもとく、 日立ソリューションズの人的資本経営

具体的には、どのように人的資本経営を進めていこうと考えていますか。

半田:根本となる戦略の軸は変わっていません。当社が毎年実施している従業員意識調査の結果より、「仕事のやりがい」「トップ方針の共有・共感」「働きやすさ」という要素が、エンゲージメントの向上に密接に関係していることが分かっています。 人的資本経営の実践も、まさにこれらを意識しながら進めていきます。その上で、現在は3つの取り組みに注力しています。

まずは「人財の獲得と成長支援」です。これまで当社では多くの日本企業と同じように「新卒一括採用」を基本に採用活動を行ってきましたが、近年は経験者採用の比率が少しずつ高まってきました。 多様な視点を活用することで、イノベーションや組織の成長を促進するとともに、さまざまなバックグラウンドを有した多様な人財に活躍していただきたいと考えています。

半田さん

そのため、従業員一人ひとりの成長を後押しすることは最も重要な投資だと考え、教育研修制度の充実やキャリア形成支援を積極的に行っています。たとえば、個々人の担当業務や今後めざすキャリアに応じて学習コンテンツを自由に選択できる「学習体験プラットフォーム」を導入し、従業員が主体的に学び続けられる環境を整えています。日々の業務に直結するスキル向上はもちろん、将来的なキャリア転換を見据えたリスキリングにも柔軟に対応できるようになりました。

また、新卒入社3年目の従業員が自らの意思でジョブを選択できる「ジョブ・マッチング制度」を立ち上げ、主体的にキャリアを考える機会を提供しています。若手従業員が自らのキャリアについて主体的に考える機会が生まれたことで、エンゲージメントが高まり、結果として若年層の離職率も大きく低下しました。

社内FAや公募制度、シニアジョブマッチング制度など、若年層以外でも、柔軟なキャリア選択の機会を提供しています。今後も継続して、職種や部門を超えた多様な経験を積むことができる環境を提供していきます。

学びもキャリア形成も、自律的であることが重要なのですね。2つめの取り組みについても教えてください。

半田:「ボトムアップカルチャーの醸成」です。

当社には、組織の成長を「自分ごと」として捉え、オープンに発言し、自律的に行動するマインドをもつ従業員が多くいると思っています。2015年の事業再編を機に、従業員一人ひとりが会社のアイデンティティや未来を真剣に考えるようになった経験が、その背景の一つにあると考えています。

全従業員参加型のアイデアソンから生まれた「仕事と介護の両立プロジェクト」や、現場の有志が立ち上げた「社内OSSコミュニティ」は、まさにボトムアップの力が形になった好例です。さらに2024年からは、各部門からビジネスアイデアを公募し、その事業化までを伴走支援する「国内サービス事業創生施策」もはじまっています。

こうした動きを「絵に描いた餅」で終わらせないために、従業員と経営層の相互理解や、心理的安全性の確保も不可欠です。社長と従業員が直接対話する「タウンホールミーティング」など、双方向のコミュニケーションも実施しながら、ボトムアップで挑戦しやすい企業風土をつくっていきたいと考えています。

ボトムアップとトップダウンは、相互に補完し合うものなのですね。
3つめの取り組みについてはいかがでしょうか?

半田:3つめは「ワークエンゲージメントの向上」です。従業員一人ひとりが自らの可能性を最大限に発揮し、組織とともに成長できる環境づくりをめざしています。 そのためには、まず「働きやすさ」の土台となる、健やかに働ける環境の整備が不可欠です。 私たちは、職場での孤立を防ぐための仕組みづくりや、産業保健スタッフとの連携を通じて、心身の健康に寄り添ったサポート体制を着実に強化してきています。 これにより、従業員が安心して働ける環境を整え、エンゲージメントの向上につなげていきます。 今後も、従業員の声に耳を傾けながら、働く意欲と満足度を高める施策を継続的に推進したいと思っています。

自分らしい挑戦こそが、 新たな協創を生み出していく

人的資本経営を通じて、これから日立ソリューションズが
「めざすところ」を教えてください。

半田:冒頭でふれた「ハーモナイズドソサエティ」の実現には、個人の幸せと会社の持続的成長を両立させることが不可欠です。私たちは、社会全体のSXもその先にしかあり得ないと考えています。だからこそ、人的資本経営の実践を通じて、従業員のみんながオープンに力を合わせて、地球社会の未来を切り拓いていく組織をめざしていきたいと思っています。

半田さん
自分らしく働ける人が増えれば、協創の輪もさらに広がっていきそうですね。

半田:まさにその通りだと思います。

自分らしく働ける環境が整うことで、従業員一人ひとりが安心して自分の考えや価値観を表現できるようになるはずです。多様な視点が交わることで、互いに刺激を受けながら新しいアイデアが生まれ、協創の輪は自然と広がっていきます。

当社が、柔軟な働き方の推進や心理的安全性の高い職場づくりを通じて、個の尊重とチームの連携が両立する環境づくりを進めているのも、そのためです。多様な視点を生かし、それを力に変えていくことこそが、これからの組織の成長に欠かせない要素だと考えています。

だからこそ、私たちが何より大切にしているのは、従業員みんながそれぞれのやりがいや熱い思いを持って、生き生きとチャレンジできる環境を整えることです。その結果として、「ハーモナイズドソサエティ」の実現に貢献できるのであれば、CHROとしても、これ以上に嬉しいことはありません。