サプライチェーン・マネージメントの高度化
調達パートナー(取引先)との連携
サステナブル調達の取り組み
日立グループは、環境・社会・経済価値の向上のためのサステナブル経営を重視する中、バリューチェーンにおいても、サステナビリティを重視した事業活動の発展に向けて取り組んでいます。当社の調達パートナーとの連携においては、サステナブル調達を推進するほか、エクセルパートナーとの信頼関係構築へ向けた活動に取り組んでいます。
当社は、日立製作所および日立グループ各社と連携し、すべてのパートナー(海外パートナー含む)へ「日立グループサステナブル調達ガイドライン」を配布し、サステナブル調達への理解のもと、責任ある調達活動に日々取り組んでいます。今後も継続的に課題の把握、改善を図り、PDCAを回すことでサステナブル調達をさらに推進していきます。
パートナーとの連携強化推進
当社の事業ニーズに応じた技術力や経験を持った優良パートナーをエクセルパートナーとして認定しており、当社の重点事業分野を中心に連携強化を推進しています。具体的には年次の事業方針説明会や定期的な連携会議を実施し、全社および各事業部門のビジョンおよび年度方針に基づいた事業計画などの共有で密な連携を図っています。パートナーシップ構築宣言にもとづいて、今後もすべてのパートナーと適正な契約条件について十分協議するとともに、信頼関係の維持向上や新規協業の創出を図りつつ、高付加価値分野への挑戦を継続していきます。
また、当社はサプライチェーンの取引先の皆さまや価値創造を図る事業者の皆さまとの連携を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、以下の項目に重点的に取り組むことを宣言しています。
サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列などを越えた新たな連携
直接の取引先を通じてその先の取引先に働きかける(「Tier N」から「Tier N+1」へ)ことによりサプライチェーン全体での付加価値向上に取り組むとともに、既存の取引関係や企業規模などを超えた連携により、取引先との共存共栄の構築をめざします。その際、災害時などの事業継続や働き方改革の観点から、取引先のテレワーク導入やBCP(事業継続計画)策定の助言などの支援も進めます。
「振興基準」の遵守
親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」)を遵守し、取引先とのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に積極的に取り組みます。
「パートナーシップ構築宣言」の取り組みについて
経済産業省が関係省庁とともに推進する「パートナーシップ構築宣言」は、事業者が、サプライチェーン全体の付加価値向上、ならびに大企業と中小企業の共存共栄をめざし、発注者側の立場から、企業の代表者の名前で宣言するものです。当社では2021年4月に宣言を行い、「サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列などを越えた新たな連携」や「親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(振興基準)の遵守」に取り組んでいます。
また、当社では2024年3月に開催された「第2回パートナーシップ構築シンポジウム」で、当社が取り組んできた、人財育成や人財マッチングなどの施策を通じたパートナーとの連携強化、事業拡大をめざす協創の姿勢などが評価され経済産業大臣賞を受賞しました。今後もこれらの施策を継続しながら、『パートナーシップ構築宣言』の理念に基づき、サプライチェーン全体の付加価値向上と共存共栄をめざして、さらに積極的に取り組んでまいります。
パートナー教育の実施
当社では、すべての新規契約者に対して情報セキュリティ教育の受講を必須としており、受け入れ時に実施しています。 具体的教育カリキュラムとしては、「情報セキュリティ」に加えて「環境活動への取り組み」、「CSR※への取り組み」、「個人情報保護」を教育コンテンツとして作成・社内公開し、受け入れ部門においてオンデマンドで自主教育できるよう、提供・対応しています。
※Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)。企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などのステークホルダーに対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方。
法令遵守の徹底
法令遵守については日頃より事業部門・パートナーと連携の上徹底しております。
具体的には調達契約関連業務従事者を含む全従業員に対して定期的な教育や遵守状況の自己監査を実施し、継続的な法令遵守の徹底を図っています。
また、不正常取引防止のため、専門のチームによる納品後の検証作業および現物確認を継続して実施しています。
各国事情に応じた最適調達の推進
事業のグローバル化に対応するため、海外パートナー(中国・ベトナム・インドなど)との連携を強化しています。
連携においては、最適な関係構築を図ることを意識し、各国の特徴と可能性を考慮した発注の実施や各国を拠点とする日立グループ会社の積極活用を推進しています。また、オフショア品質向上に向けた案件の動態監視や、グローバル事業拡大を目的としたオフショアパートナーとのビジネス協創の検討を行うなど、従来のオフショアリングの枠にとらわれない活動を推進しています。
品質向上のための取り組み
品質方針、障害時の対応
お客さまへ安心・安全で信頼される製品とサービスを提供するため、「お客さまの多彩なニーズにお応えし、信頼されるソリューションを提供する」という品質方針を全従業員が理解し、品質の維持・向上に取り組んでいます。
万が一、障害が発生した場合には、すべての業務に優先して障害対応を行い、お客さまの業務を復旧させることを第一に、障害の現象(事実)と業務影響を迅速に把握します。
品質保証の取り組み
当社では、さまざまな開発において守るべき標準プロセスとして「開発業務規程」を定めています。開発業務規程は、共通フレームの知識体系やPMBOK※、ISO9001の考えを軸に、当社の経験と実績に基づいたベストプラクティスを整理したものです。これを全プロジェクトで遵守し、上流工程から品質を確保しています。また、事業部門とは別に独立した組織として品質保証部門があり、プロジェクトマネジメントのサポートや監視を行うとともに、第三者視点での品質保証活動や納品前検査により、製品の品質を保証しています。
※Project Management Body Of Knowledge(プロジェクトマネジメントの知識体系)。プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの。
海外グループ会社との協力による品質保証の取り組み
お客さまの多彩なニーズに即応した信頼性の高いソリューションの提供をめざし、グローバルQMS※に適合した品質マネジメントプロセスの成熟化に取り組んでいます。日立製作所のグローバル向け品質マネジメントシステムをもとに、海外グループ会社での適用を推進。担当部門とのリアルとオンラインによるハイブリッド形式の会議を開催し、品質保証プロセスについての活発な意見交換を重ねるなど、連携強化を図ってきました。プロジェクト情報を共有し、各種リスクや問題に対する状況を確認することで、経営基盤強化を実現しています。また、社内におけるグローバルナレッジの共有化をはじめ、日立製作所海外グループ会社のノウハウを参考にした施策の試行、日系企業のお客さま向けの開発プロセスのサポート、運用に関する各種相談対応、海外グループ各社とのベストプラクティス共有による一体感の醸成などにより、プロジェクトマネジメント力の強化を進めています。
※QMS:Quality Management System 品質マネジメントシステム
Hitachi Solutions India Pvt. Ltd. と意見交換会を実施
Hitachi Solutions India Pvt. Ltd.の従業員が来日し、相互の品質マネジメントプロセス、KPIおよび文化などについて話し合いました。今後も各グループ会社との品質マネジメントに関する連携イベントを予定しています。
海外グループ会社との連携による「Global Conference」を開催
当社と海外グループ会社がベストプラクティスや事例を共有するイベントを開催し、プロジェクトマネジメント力の強化や当社グループの一体感醸成に取り組んでいます。2024年度は当社から26名、日本以外では米国、インド、英国、シンガポール、フィリピンなど各地域から22名の計48名が参加し、活発な意見交換が行われました。
ステークホルダーとのコミュニケーション
情報誌プロワイズ
ステークホルダーと当社をつなげるコミュニケーションツールとして、年4回発刊しています。IT分野に限定せず、経営やイノベーション、ダイバーシティなど、毎号さまざまな特集を組み、各界の第一線で活躍する方々の提言を掲載しています。 冊子のみならず、情報提供サイト「未来へのアクション」にデジタルブック形式でも公開するなど、デジタルとの融合も加速させています。
読者の関心に寄り添ったコンテンツを冊子ならではの特長を活かし、お客さまとのエンゲージメントを深めつつ、デジタルで幅広い読者にお届けすることで、「日本BtoB広告賞」PR誌の部門・10年連続受賞、サステナビリティ賞2年連続受賞など、高い評価をいただいています。
日立ソリューションズデー
お客さまとそのご家族を対象に、スポンサー契約を結ぶ東京ヤクルトスワローズとコラボレーションしたプロ野球公式戦イベント「日立ソリューションズデー」を明治神宮野球場で年1回開催しています。2024年は規模を拡大し、お客さまやパートナー企業、社員とそのご家族も含めて、総勢300名以上が参加しました。
野球観戦のほか、守備に就く選手を迎えるスタメンキッズや、オリジナルうちわの配布など、さまざまな催しを企画し、参加者の方々に楽しんでいただいています。
オープンなコミュニティ「ハロみん」
持続可能な社会の実現に向けて、さまざまなステークホルダーとのつながりを大切にし、みんなでワクワクする未来を創造していくためのオープンなコミュニティ「ハロみん」を運営しています。「誰もが心の豊かさを実感できるサステナブルな地球社会を実現するために、皆さんと力を合わせたい」という日立ソリューションズの想いのもと、さまざまなテーマによるイベントやオンラインコミュニケーションの仕組みを活用して、活動を推進しています。「ハロみん」は、「ハロー、みんなの〇〇」の略語で、〇〇にはみんなが実現したいサステナブルな地球社会を示す、いろいろな言葉が入ることを想定しています。テーマは、「グローバルトレンド(先進技術)」、「セキュリティ」、「生成AI」などさまざまで、今後も拡充していきます。
お客さま特別セミナーの開催
年1回、業界の著名人やエバンジェリストがトレンドを語る特別セミナーを開催しています。
当社が取り組む重点事業を中心に、その年のテーマに応じた最新の業界動向や当社ならではのソリューション情報、事例をお客さまにお伝えしています。
2024年度は「Security for SX 2024
~SXとセキュリティの融合が拓く未来~」と題し、オンライン形式で3日間にわたって開催し、延べ600名を超える方々にご参加いただきました。

