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ワークスタイル変革ソリューション

コラム

組織の生産性の向上 第8回
会議のスタイルを見直して活発な議論を促進

日本型会議の悪しき慣習

ワークスタイル変革を実施するにあたり、重視すべき大きな要素の一つが社員の「時間」です。会社の日頃の業務を見つめ直したとき、多くの“無駄”な時間が消費されていると感じるのが、会議でしょう。生産的な会議を行うには工夫が必要です。ここでは会議のあり方を見直してみます。 長時間労働の是正や残業削減が叫ばれる中、いまだに業務時間の多くを占めている「会議」。とりわけ日本企業の会議は、何も決まらない非生産的な話し合いがだらだらと続き、時間の無駄遣いだとしばしば指摘されます。ワークスタイルを変革するには、時間の有効活用を実現するため、まず会議の改革が必須といえるでしょう。 不毛な会議の特徴は何でしょうか。

  • 目的がはっきりしていない
  • 時間がやたらと長い
  • 終了時間を決めていない
  • 発言しづらい空気がある
  • 参加者が他人任せで積極的に発言しない
  • 参考資料が多すぎる
  • 会議開催が定例となっている(開く必要のない会議を開く)
  • 「会議のための会議」になっている

などなど、挙げればキリがありません。無駄な会議は社員のモチベーションを下げてしまいますし、せっかく会議で決めても上で簡単にひっくり返される状況が常態化していたら、参加意欲も削がれます。 テレワークを推進して柔軟なワークスタイルを追求している会社でも、なぜか会議だけは旧態依然としているところが多くあります。テレワークで在宅勤務をしている社員が会議のためにわざわざ出社する……そんな笑えないケースも耳にします。 会議をすること自体が無駄なわけではありません。必要な会議は必ずあります。しかし、生産的な会議を行うには、会議に臨む意識を変えたうえで、工夫も必要になります。 当然ですが、会議もコストです。業務時間内の会議は人件費の対象であるのはもちろん、時間も大きなコストですし、無駄な資料を数多く印刷すると印刷コストもばかになりません。その資料を準備する社員の人的リソースも無駄に費やされている可能性があります。不要な会議を開けば開くほどコストがかさみ、生産性が落ちて、社員の柔軟な働き方も阻害されることを、まずは心得ておくべきです。

理想的な会議とは?

とはいえ、会議を完全になくせばいいというものでもありません。会議の開催を怠ることで、重要な事項が伝わらず、ミスやトラブルに発展することがあります。メールや電話だけで済ませていると理解に齟齬が生じたり、チームメンバーの交流不足から業務に支障が出るケースもあるでしょう。やはり、人間のコミュニケーションは面と向かっているときが最も円滑に行えるものです。 それでは、理想的な会議とはどのようなものでしょうか。 簡単にいえば、上で挙げた「不毛な会議の特徴」を裏返したものになります。会議の目的をしっかりと定め、発言できる環境をつくり、必要最低限の時間でテキパキと済ませる。そもそも、不要な会議は開かないようにする。こういったことを意識しておくだけで、会議はずっと有意義になります。 とはいえ、これだけでは精神論になりがち。そこでICTツールを活用し、生産性の高い会議運営をめざしましょう。

会議の見直しに有用なツール

会議の場が活発にならない理由はいくつかあります。上司の権限が大きすぎる、チーム内の雰囲気が悪い、結論が初めから決まっている、そもそも決めるべき議題がない……などもそうですが、これらの場合はICTツールを導入する以前に、会議のスタイルを根本的から見直さなければならないでしょう。 一方、会議が始まってから大量の資料が配布されるケースでは、参加者が資料に目を通すのに時間がかかり、意見をまとめる時間もないため、必然的に発言が少なくなります。こういった場合は、会議効率化ソリューションの導入が有効でしょう。事前に資料をデジタル文書で送付・共有して、あらかじめ閲覧してもらい、資料に目を通したかどうかを確認しておくことで、会議の改善が可能です。資料にはチームメンバーがコメントをリモートで書き込めるようにし、編集を加えたら自動的に同期するような機能も有効です。あらかじめデジタル文書で共有することでペーパーレス化を推進でき、印刷コストも下げられます。 また、あとから「あれは言った」「言わない」と紛糾する事態を避けるために、資料に書き込んだコメントや会議中の発言を議事録として自動的に記録・整理するツールも有効です。会議の内容を可視化することで、次回以降、同じテーマを繰り返して議論してしまう堂々巡りも避けられます。

オンライン会議システムも有効

Web会議システムの導入も効率的です。従来広く使われていたテレビ会議システムは導入コストが高いうえ、会議室への設置を前提としています。当然、すべての会議室に設置することは難しいので、テレビ会議専用の会議室が作られるわけですが、数が少ないといざ利用したいときに予約が埋まっていて、思うように活用できません。 そこで今注目されているのが、Webを使ったオンライン会議システムです。インターネットに接続したパソコンやスマートフォン、タブレットなどにSkypeのようなWeb会議アプリケーションをインストールしておけば、いつでもどこでも会議に参加できます。出張先の喫茶店やホテルからでもいいですし、在宅勤務の社員もわざわざ会社へ赴くことなく気軽に利用できます。最近のオンライン会議向けツールはセキュリティに十分配慮されているので、社外での利用も問題ありません。 スマートフォンやタブレットなら、カメラ/マイクは標準搭載されているので新たな投資は不要。パソコンも安価な外部カメラ/マイクをつなぐだけでいいので、コスト面でも有利です。

まとめ

会議はなくせばいいというものではなく、重要事項の決定や伝達など必要なシーンはいくらでもあります。とはいえ社員の貴重な時間を使うわけですから、従来のように長時間続く会議スタイルのままでは生産性が高まりません。そもそもスピーディーな意思決定が求められるこの時代、だらだら続く会議には弊害しかないでしょう。また、社員の時間を奪うということは、ワークスタイル変革の実現という視点でも障害になります。 生産的で、かつ社員がいきいきと参加できる会議の開催に向けて、ICTツールを有効活用する姿勢が求められています。

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