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連載:ウィズコロナ時代の人材マネジメントと人事評価のあり方とは

#1:コロナ前後で変化があった企業の人事評価と、
テレワーク実施によって起こった意識の差

リシテア/就業管理クラウドサービス」より専門家によるコラムのご紹介です。
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が経営戦略や人事戦略において予期せぬ事態への対応を迫られることになりました。「今年度の目標をどう立てるか」「テレワークが増える中、人事評価の基準をどのように定めたらよいか」など、正解が見えない課題が山積みの中で、公益財団法人日本生産性本部雇用システム研究センターの研究員である小堤峻さんの元には、企業から日々相談が届いたと言います。企業はどのような悩みを抱え、今後の見直しをしようとしているのでしょうか。

監修者

小堤 峻

公益財団法人日本生産性本部
雇用システム研究センター 研究員

小堤 峻 (おつづみ・しゅん)

大学卒業後、信託銀行で営業・企画業務に従事。2015年1月に日本生産性本部入職。担当領域は、民間企業および学校法人を対象とした人事制度設計支援、人事・労務の教育研修の企画・運営。中小企業診断士・MBA(経営学修士)。

人事制度を「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」へシフトすべきかを検討する企業が増加

2019年12月から世界中に広がっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19/以下、新型コロナ)は、企業の働き方に大きな影響と変化をもたらしています

以前は、平日は毎朝通勤し、上司と部下やチームが顔を合わせてコミュニケーションを取りながら仕事を進めていた「同じ場の共有」が日常でしたが、2020年4月に緊急事態宣言が発令されてからは多くの企業がテレワークを導入し、突如として新型コロナの感染拡大を抑止するために「異なる場での業務遂行(非対面・非接触)」を前提とした働き方が求められるようになりました。

そのように急遽対応を迫られた企業の中で、生まれた課題がいくつかあります。
1つ目は「目標設定」です。多くの組織は毎年4月から新たな事業年度がスタートするため、「働き方が急激に変化した今年は、年度の目標をどのように設定すればよいのだろうか」と悩む経営者や人事担当者が少なくありませんでした。

2つ目は「人事評価」です。企業は一年、もしくは半年ごとに社員一人ひとりに対して「人事評価」を行っています。従来は、勤務態度などオフィスに出社することを前提とした評価基準を設けている企業が少なくなかったと思います。しかし、急遽テレワークを導入した企業は、この評価方法を新たな働き方に合わせて見直す必要に迫られました。

人事評価の変化について少し掘り下げると、最近ではテレワークにおける諸問題を解決する方法としてジョブ型雇用の人事制度を検討するという声を聞きます。前提として、雇用のタイプは大きく2つに分けることができます。従来の日本において主流である新卒で社員を一括採用した後に配属を決め、定期的な人事異動を行い育てていく「メンバーシップ型雇用」と、欧米で主流の仕事に必要な要件を定め、それに合う人材を採用し活用する「ジョブ型雇用」です。

ただ、このメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の議論は、環境変化を踏まえた経営戦略や事業戦略のあり方から、どのような組織・人材活用が求められるかを考える上での議論となります。従って、テレワークを導入したからジョブ型雇用の人事制度を導入しようと単純に考えることは、本質的ではないと考えます。多様な観点から考えるべき、人事に関する論点となります。

このように、明確な人事の方向性が定まらないまま「目標設定」や「人事評価」などを中心に見直しを迫られ、悩んでいる企業が多数存在しているのが現状です。

継続的な調査から見えてきた、テレワーク実施率の差で表れてきた課題

2020年以降、企業の経営・人事面において大きな影響をもたらしているテレワークですが、その実施率はさまざまな要素によって“差異”が見られます。
私たち公益財団法人 日本生産性本部は、組織で働く雇用者1,100名を対象に、所属組織に対する信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、継続的にアンケートによる意識調査を実施しています。今年1月22日にリリースした第4回「働く人の意識調査」の結果を見てみましょう。

全体・そして勤務地域ごとのテレワークの実施率

(出典:日本生産性本部 第4回「働く人の意識調査」結果レポートp.14
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/4th_workers_report.pdf
※調査は2020年5月・7月・10月、2021年1月に4回に分けて行われたもの。

政府は出勤者の7割削減という指針を示しましたが、2021年2月現在、雇用者全体のテレワーク実施率は2割程度となっています(図34)。その中で、2度目の緊急事態宣言が出た都道府県のうちの1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)は32.7%(それ以外の地域は14.6%)と、高い実施率にあることがわかります(図35)。これは前回の10月調査からの変化が少ないことから、緊急事態宣言への対応に加え、テレワークの実施が比較的進んでいる大企業が1都3県に多いことが要因と考えられます。

職種別テレワーク実施率

(出典:日本生産性本部 第4回「働く人の意識調査」結果レポートp.14
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/4th_workers_report.pdf

さらに、テレワークは「職種」によっても実施率に大きな差が見られます。実施率が高いのは「管理的な仕事」「専門的・技術的な仕事」「事務的な仕事」などで、一方、「運搬・清掃・包装等の仕事」「建設・採掘の仕事」「生産工程の仕事」などの職種では実施率が低くなっています(図37)。

テレワークの課題

(出典:日本生産性本部 第4回「働く人の意識調査」結果レポートp.16
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/4th_workers_report.pdf

次にテレワークを実施している企業が感じている「課題」を見てみましょう。図40を見ると、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」「Wi-Fiなど、通信環境の整備」「情報セキュリティ対策」「Web会議などのテレワーク用ツールの使い勝手改善」「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」など、テレワーク環境の設備に関する課題が多く挙げられています。テレワークを推進している企業でも、これらの課題をどのように解決していくかは今後のポイントになっていくでしょう。

さらに人事担当者に起こった課題としては、勤怠管理の方法を変更せざるを得なくなったケースが見られます。たとえばタイムカードやオフィス内にある社員個別のパソコンを利用した勤怠管理の方法をとっていた企業の人事担当者が、システム面でも対応を求められて困った、という事例が多数発生しました。図40でも、「オーバーワーク(働きすぎ)を回避する制度や仕組み」に票が入っており、人事担当者の苦労が伺えます。

このように、テレワークの導入にハードルが高い企業の多くは、現場での対応が求められる業種・業態による要因と、企業における人材活用の制約という課題を抱えています。たとえば、中小企業では大企業と異なり、一人ひとりが特定の業務をこなすのではなく、営業と経理事務職など複数の職務を兼ねているケースがあります。そうなると、「営業業務はテレワークで対応できるが、経理事務業務ではオフィスにいかないと〇〇の作業ができない」といったことが発生します。また、明確に業務が社員にて区分されておらず、その時々の状況に応じて相手の様子を見つつ、臨機応変に対処するなどの仕事の仕方も見受けられます。一人で多様な業務をこなす必要性が高い中小企業における課題といえます。

労務管理上の課題

(出典:日本生産性本部 第4回「働く人の意識調査」結果レポートp.16
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/4th_workers_report.pdf

さらに企業は、「人事評価の課題」に向き合う必要にも迫られています。図41を見ると、労務管理上の課題として「オフィス勤務者との評価の公平性」「仕事の成果が適切に評価されるか不安」「仕事振りが適切に評価されるか不安」などの声が挙げられています。テレワークやオフィスワークという業務形態に関わらず、社員が安心して仕事ができるような人事評価の整備が、企業には求められているのです。

2021年4月以降に人事評価は大きく変わる!?日本企業の今後の動きは?

新型コロナウイルスの感染拡大により、人事評価やそのための人事管理システムを見直した企業は少なくないのではないでしょうか。そして、人事に関する運用は、事業年度に合わせて実施されることが多く、新型コロナの影響を受けた通期評価を終える2021年4月以降に、企業は1年間を振り返り、必要に応じて新たな取り組みを検討されることと思います

2021年4月から、この一年間で見えてきた課題や改善のためのポイントが可視化され、それ以降に人事管理システムの見直しや労務管理等の仕組み改革などが、さらに進んでいく可能性があります。

たとえば、今まで同じ空間にいたので把握しやすかった各社員の勤務状況が働き方の急激な変化で把握しづらくなったり、ジョブ型雇用的な思想が広まることで成果に対するシビアさが増し、特定の人に負荷がかかったり、逆に業務内容がマッチしていなくて生産性が低くなっているような従業員を把握しづらかったりと、働き方の変化によって浮きぼりになってきた課題が、この1年間で各企業には見えてきたと思います。その課題を解決するためにも、今人事担当者は、社員のフォローのしかたや業務内容変更など、最適な人事施策を打てるようにならないといけないでしょう。

そして最適な人事施策を打つためには、各企業で人事管理システムをアップデートする取り組みを行う必要があると考えます。今後もますます柔軟な人事管理を進める企業が増える中、2021年4月以降も人事管理システムの課題に悩まされそうな経営者や人事担当者は、どのような仕組み・サービスを活用したほうが良いかをチェックしてみるとよいでしょう。

そして人事管理システムと同様に、就業管理システムも今までのやり方を見直す必要があるでしょう。出社前提の管理方法(タイムカードなど)からテレワークでも使えるクラウドタイプの就業管理システムに切り替えれば、テレワーク下でも社員一人ひとりの詳しい勤務状況がより把握できるようになるでしょう。

2021年4月以降、大きな環境変化の最中の人事戦略に必要なのは、「納得できる方針を打ち出すこと」

経営の観点から「今後の戦略はどうあるべきか」「そのための組織のあり方や社員一人ひとりの働き方はどうあるべきか」を考え、社員に示すことができた企業は、新型コロナウイルスのような突発的に求められる変化に対しても、うまく対応できている印象があります。

たとえば、ある企業では、経営者が社員に対して「出社して業務をするという、これまで当たり前と考えていた働き方をこの機会に見直してほしい」というメッセージを明確に打ち出しました。それを踏まえて、人事労務に関するシステムを改定するなどを含めた取り組みも実施したため、社員が方針に対して腹落ちしやすかったのではないかと思います。

企業が経営方針など重要な戦略の転換するうえで重要なポイントは、「転換する方針にいかに社員が納得できるか」ではないかと考えます。そのためには、なぜその転換を行うのか、そのための手段として何を変えるのか、人事領域においてはなぜその人事マネジメントの仕方に変えるのか(テレワークの推進を含む)、ということについて、経営者がきちんとメッセージを出し、社員に説明する必要があるでしょう。

まとめ:2021年は人事評価を中心に「社内改革」が大きく進む! 重要な人事戦略にあった人事管理システムの見直しが必須

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業が急遽テレワークを増やしたり新しい経営目標や人事戦略を打ち出したりと、突発的な対応に追われた2020年。今年4月からはその振り返りと制度や運用の見直しが進み、より今後の社会そして企業に合った目標設定や人事評価、人事管理システムを設定するなどの「社内改革」が、一層進む可能性があるでしょう。

記事公開日:
就業管理人事評価
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