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裁量労働制で残業代は発生する?計算方法と注意点を解説

裁量労働制で残業代は発生する?計算方法と注意点を解説

勤怠管理システム「リシテア」より勤怠管理・労務管理のお役立ち情報のご紹介です。

裁量労働制は、労働者の健康を確保しつつ、業務の遂行手段や時間配分を労働者の裁量に委ねることで、自律的・主体的な働き方を促進し、創造的な能力の発揮をめざす制度です。この制度では、実際の労働時間ではなく、事前に定めた「みなし労働時間」を労働時間として扱います。働き方が多様化する中で注目されていますが、導入している企業は少なく、特に残業代の扱いに不安を抱える労務管理者も多い状況です。

この記事では、裁量労働制の概要、残業代が発生するケースと割増賃金の計算方法、さらに導入時の注意点についてわかりやすく解説します。

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裁量労働制とは

裁量労働制とは、労働者の健康確保と能力や成果に応じた処遇を可能としながら、業務の遂行手段や時間配分などを労働者の裁量に委ねることで自律的・主体的な働き方を促進し、労働者の創造的な能力の発揮をめざす制度です。この制度では、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間を労働時間とみなします。この制度には、大きく分けて2種類があります。

特定の専門職を対象とする「専門業務型裁量労働制」と、事業運営に関する企画・立案などを対象とする「企画業務型裁量労働制」です。それぞれ、専門業務型では労使協定、企画業務型では労使委員会の決議によって適用されます。

次節では、この2つの裁量労働制について詳しく解説します。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上、その遂行方法や時間配分を労働者に大幅に委ねる必要があり、使用者が具体的な指示を行うことが困難な業務を行う労働者に適用される制度です。

専門業務型裁量労働制では、対象業務は厚生労働省令で定められており、2025年2月時点で20種類が対象です(コピーライターやシステムコンサルタント、M&Aアドバイザーなど)。

この制度を導入するには、以下の項目を定めた労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

  1. 対象業務
  2. みなし労働時間
  3. 業務の遂行手段や時間配分について使用者が具体的な指示を行わないこと
  4. 健康・福祉確保措置(例:勤務間インターバルや深夜勤務回数制限)
  5. 苦情処理措置(例:相談窓口設置や対応手順)
  6. 労働者本人の同意※
  7. 同意をしなかった場合の不利益な取り扱いの禁止※
  8. 同意撤回の手続き※
  9. 労使協定の有効期間
  10. その他、厚生労働省令で定める事項

※2024年4月以降に義務化

2024年4月以降は、適用される労働者本人から事前に同意を得ることが義務付けられ、同意を撤回する手続きも必要です。同時に、裁量労働制への同意をしないことによる不利益な取り扱いは禁止されます。

出典:厚生労働省(専門業務型裁量労働制の解説)*1
出典:厚生労働省(裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です)*1

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析などの業務で、その遂行方法や時間配分を労働者の裁量に委ねる必要があり、使用者が具体的な指示を行うことが困難な業務を行う労働者に適用される制度です。対象業務は労働基準法第38条の4第1項で規定されています。

企画業務型裁量労働制の導入には、以下の項目を労使委員会で決議し、委員の4/5以上による多数で議決する必要があります。また、労使委員会で決議した内容は所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

  1. 対象業務
  2. 対象労働者の範囲
  3. みなし労働時間
  4. 健康・福祉確保措置(例:勤務間インターバル制度や深夜勤務回数制限)
  5. 苦情処理措置(例:相談窓口設置や対応手順)
  6. 労働者本人の同意
  7. 同意をしなかった場合の不利益な取り扱いの禁止
  8. 同意撤回の手続き※
  9. 対象労働者に適用される賃金・評価制度変更時の労使委員会への説明※
  10. 労使委員会の決議の有効期間
  11. その他、厚生労働省令で定める事項

※2024年4月以降に義務化

2024年4月以降、この制度を適用する場合、同意撤回の手続きが義務化され、賃金・評価制度変更時の説明義務も新たに加わっています。

出典:厚生労働省(企画型裁量労働制の解説)*1
出典:e-Govポータル(労働基準法)*1
出典:厚生労働省(裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です)*1

裁量労働制でも残業代は発生する

裁量労働制では、実際の労働時間にかかわらず、みなし労働時間が労働時間として扱われるため、通常、残業代は発生しません。例えば、実際の労働時間が9時間であっても、みなし労働時間が8時間と定められていれば、8時間分のみが労働時間として計算されます。

ただし、以下の場合には裁量労働制でも残業代を支払う必要があります。

  • みなし労働時間が法定労働時間を超える場合
  • 深夜に労働した場合
  • 法定休日に労働した場合

裁量労働制の残業代が発生するケースを紹介する前に、基本的な割増賃金の計算方法を確認しましょう。

基本的な割増賃金の計算方法

割増賃金には大きく分けて以下の4種類があります。

種類 詳細 割増率
(1時間当たり)
時間外労働*1 1日8時間、1週40時間を超えた労働 25%以上*2
深夜労働 午後10時から午前5時までの労働 25%以上
法定休日労働 法定休日に行われる労働 35%以上
法定外休日労働 法定休日以外の休日に行われる労働 割増なし
(条件による*3)

*1 ここでは法律上の時間外労働(法定時間外労働)を指す
*2 月60時間超の割増賃金率は50%
*3 時間外労働や深夜労働が重なった場合には割増賃金が発生

裁量労働制においても、これらの割増率は通常の労働者と同じ基準で適用されます。ただし、「みなし労働時間」と実際の勤務状況との関係から、どのケースで残業代が発生するかがわかりづらいため、次節で詳しく解説していきます。

出典:厚生労働省(1. 時間外(法定外休日)労働の割増率

勤怠管理のお悩み、まずはご相談ください。

裁量労働制で残業代が発生するケースと割増賃金の計算方法

裁量労働制は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた「みなし労働時間」をもとに労働時間を計算する制度です。賃金額を固定したり、割増賃金の適用を除外したりするものではないため、一定の条件下で残業代が発生します。以下のケースについて、残業代が発生する事例と割増賃金の計算方法を確認しましょう。

  • みなし労働時間が法定労働時間を超える場合
  • 深夜に労働した場合
  • 法定休日に労働した場合
  • 法定外休日に労働した場合
  • 時間外労働と深夜労働が重なった場合
  • 法定休日労働と深夜労働が重なった場合

①みなし労働時間が法定労働時間を超える場合

労働基準法では、労働時間の上限として、1日8時間、1週40時間までと定められています。この法定労働時間を超える場合には、割増賃金(残業代)の支払いが必要です。

たとえば、労使協定や労使委員会の決議でみなし労働時間を1日9時間と定めた場合、法定労働時間を超える1時間について残業代が発生します。なお、法定労働時間を超えるみなし労働時間を設定するには、36協定(時間外・休日労働に関する協定)が締結されている必要があります。36協定がない場合、法定労働時間を超えるみなし労働時間を設定することは違法となります。

関連記事:36協定とは?わかりやすく解説|残業上限・特別条項

また、割増賃金の計算対象となる賃金には注意が必要です。基本給や諸手当のうち、固定残業代や特定の手当(通勤手当など)が含まれる場合、その内訳によって計算方法が異なることがあります。本例では、全額が割増賃金計算の対象となる前提で計算します。割増賃金の計算式は以下のようになります。

割増賃金
1時間当たりの賃金額 × (みなし労働時間-法定労働時間) × 割増率(25%)

月給32万円(全額が割増賃金計算の対象とする)、1日の所定労働時間8時間、1カ月の平均労働日数20日の場合で、みなし労働時間が1日9時間の場合、以下のように割増賃金が発生します。

1時間当たりの賃金額
月給 ÷ (所定労働時間 × 平均労働日数)
= 320,000円 ÷ (8時間 × 20日)
= 2,000円

割増賃金の額
2,000円 × (9時間-8時間) × 割増率25%
= 2,000円 × 1 × 0.25
= 500円

この場合、1日の割増賃金として500円が発生します。

➁深夜に労働した場合

深夜労働とは、午後10時から午前5時の間に行われる労働のことです。この時間帯は本来就寝していることが多く、心身への負担が大きいとされ、割増率(25%)が適用されます。

深夜労働における割増賃金は、その時間帯に該当する労働時間について支払われます。例えば、午後10時から午前0時まで2時間勤務した場合、この2時間分が深夜労働として計算されます。労働した時間の長さにかかわらず、午後10時から午前5時までの時間帯に該当する労働には、必ず割増賃金が発生します。

深夜労働の割増賃金の計算式は、以下のとおりです。

1時間当たりの賃金額×深夜労働の時間×25%

月給32万円(全額が割増賃金計算の対象となると仮定)、1日の所定労働時間8時間、1カ月の平均労働日数20日の場合で、午後10時から午前0時まで2時間勤務した場合、以下のように割増賃金を計算します。

1時間当たりの賃金額
月給 ÷ (所定労働時間 × 平均労働日数)
= 320,000円 ÷ (8時間 × 20日)
= 2,000円

割増賃金額
2,000円 × 深夜労働2時間 × 割増率25%
= 2,000円 × 2 × 0.25
= 1,000円

この場合、深夜労働による割増賃金として1,000円が発生します。

③法定休日に労働した場合

労働基準法では、毎週少なくとも1日または4週間で4日の休日を与える必要があると定められています。この休日が「法定休日」です。

法定休日に働いた場合には、通常賃金に加えて35%の割増賃金が発生します。これは法定休日自体が特別な扱いを受けるためであり、「時間外労働」として追加の割増率(25%)が適用されない点がポイントです。また、通常の勤務日とは異なり、労働時間が8時間を超えても割増率は一律35%となります。

割増賃金の計算式は以下のとおりです。

1時間当たりの賃金額×法定休日に労働した時間×35%

月給32万円(全額が割増賃金計算の対象となると仮定)、1日の所定労働時間8時間、1カ月の平均労働日数20日の場合で、法定休日に午前9時から正午まで3時間勤務した場合、以下のように割増賃金を計算します。

1時間当たりの賃金額
月給 ÷ (所定労働時間 × 平均労働日数)
= 320,000円 ÷ (8時間 × 20日)
= 2,000円

割増賃金額
2,000円 × 法定休日の労働時間3時間 × 割増率35%
= 2,000円 × 3 × 0.35
= 2,100円

この場合、法定休日における3時間分の割増賃金として2,100円が発生します。

④法定外休日に労働した場合

法定外休日とは、法定休日以外の日に設定された企業独自の休日を指します。このような休日に出勤した場合、1週間の合計労働時間が40時間を超えた場合に通常の時間外労働と同様に25%以上の割増賃金が発生します。

例えば、1日の所定労働時間が8時間の場合、平日に5日間勤務すると合計40時間となります。この状態で法定外休日に勤務すると、その分が週40時間を超えるため、超過分について割増賃金が発生します。

この場合の計算式は以下のとおりです。

1時間当たりの賃金額 × 法定外休日に労働した超過分の時間 × 割増率(25%)

月給32万円(全額が割増賃金計算対象と仮定)、1日の所定労働時間8時間、1カ月平均20日の勤務の場合で、平日にすでに40時間勤務している週に法定外休日に午前9時から正午まで3時間勤務した場合、以下のように計算します。

1時間当たりの賃金額
月給 ÷ (所定労働時間 × 平均勤務日数)
= 320,000円 ÷ (8時間 × 20日)
= 2,000円

割増賃金の額
2,000円 × 超過分3時間 × 割増率25%
= 2,000円 × 3 × 0.25
= 1,500円

この場合、法定外休日における3時間分について1,500円の割増賃金が発生します。

⑤時間外労働と深夜労働が重なった場合

時間外労働と深夜労働が重なった場合、それぞれ別々に割増賃金が発生します。これは、時間外労働(法定労働時間を超えた場合)への補償と、深夜労働(午後10時〜午前5時)への補償という趣旨が異なるためです。

一般的には、「午後10時を超えると、時間外労働の割増率が50%になる」と誤解されることがあります。しかし、正しくは以下のとおりです。

  • 時間外労働の割増率:25%
  • 深夜労働の割増率:25%

これらを合算した結果、実質的な割増率が50%になり、時間外労働そのものの割増率が50%になるわけではありません。

時間外労働と深夜労働が重なった場合の割増賃金は、以下のように計算します。

  1. 時間外労働に対する割増賃金
    = 1時間当たりの賃金額 × (みなし労働時間-法定労働時間) × 割増率(25%)
  2. 深夜労働に対する割増賃金
    1時間当たりの賃金額 × 深夜労働の時間 × 割増率(25%)
  3. 割増賃金の合計額
    1.時間外割増 + 2.深夜割増

月給32万(全額が割増賃金計算対象と仮定)、1日の労働時間8時間、1月の平均労働日数20日の労働者が、午後10時〜午前0時までの2時間、時間外労働を行った場合、計算式は以下のとおりです。

1時間当たりの賃金額
320,000円÷(8時間 × 20日)=2,000円

  1. 時間外労働に対する割増賃金
    2,000円 × 2時間 × 割増率25% = 1,000円
  2. 深夜労働に対する割増賃金
    2,000円 × 2時間 × 割増率25% = 1,000円
  3. 3. 割増賃金の合計額
    1,000円 + 1,000円 = 合計2,000円

この場合、時間外労働・深夜労働における2時間分について2,000円の割増賃金が発生します。

⑥法定休日労働と深夜労働が重なった場合

法定休日労働と深夜労働が重なった場合、それぞれ別々に割増賃金が発生します。これは、法定休日における勤務への補償、午後10時から午前5時の深夜という身体的負担が大きい時間帯への補償と趣旨が異なるためです。

法定休日労働の割増率は35%、深夜労働の割増率は25%であり、それぞれ合算されます。したがって、重なった場合の実質的な割増率は60%となります。

法定休日労働と深夜労働が重なった場合の割増賃金は、以下のように計算します。

  1. 法定休日労働に対する割増賃金
    1時間当たりの賃金額 × 法定休日に勤務した時間 × 割増率(35%)
  2. 2. 深夜労働に対する割増賃金
    1時間当たりの賃金額 × 深夜勤務した分 × 割増率(25%)
  3. 3. 割増賃金の合計額
    1.法定休日割増 + 2.深夜割増

月給32万(全額が割増賃金計算対象と仮定)、1日の労働時間8時間、1月の平均労働日数20日の労働者が、法定労働時間外の午後10時〜午前0時まで2時間勤務した場合、以下の割増賃金が発生します。

1時間当たりの賃金額
320,000円÷(8時間 × 20日)=2,000円

  1. 法定休日労働に対する割増賃金
    2,000円 × 2時間 × 割増率35% = 1,400円
  2. 2. 深夜労働に対する割増賃金
    2,000円 × 2時間 × 割増率25% = 1,000円
  3. 3. 割増賃金の合計額
    1,400円 + 1,000円 = 合計2,400円

この場合、法定休日労働・深夜労働における2時間分について2,400円の割増賃金が発生します。

勤怠管理のお悩み、まずはご相談ください。

裁量労働制の残業代や運用面に関する注意点

裁量労働制では、残業代が発生する際の割増賃金の計算や労働時間管理の運用面で通常の労働者とは異なる点に注意が必要です。適切な運用を行うためにも、これらのポイントを押さえておきましょう。

実際の労働時間とみなし労働時間の乖離がないか

裁量労働制では、健康管理上、出退勤時刻や勤務状況を適切な方法で記録する義務があります。これにより、実際の労働時間とみなし労働時間との乖離を把握し、安全配慮義務違反を防ぐことが求められます。実際の労働時間がみなし労働時間より極端に長い場合、安全配慮義務違反となる可能性があります。「裁量労働制では何時間でも働かせられる」「出退勤記録は不要」という考え方は誤りです。

また、勤務状況の記録は法令に基づき5年間保存する必要があります。適切な勤怠管理システムを活用することで、客観的なデータによる正確な記録と管理が可能となり、法令遵守と労働者の健康確保に役立ちます。

勤怠管理システム「リシテア」は、企業の多種多様な勤怠管理にも柔軟に対応できるシステムです。労働者一人ひとりの勤務状況をリアルタイムに把握できるため、裁量労働制にも役立ちます。

出典:e-Govポータル(労働安全衛生法)*1
出典:e-Govポータル(労働基準法)*1

時間外労働時間以外の措置も順守する

裁量労働制は働かせ過ぎにつながりやすいため、企業には健康・福祉確保措置や苦情処理措置を設けることが法定されています。これらの実施状況や労働時間、同意および同意撤回については労働者ごとに記録し、5年間保存する義務があります。

また、企画業務型と専門業務型では対象者や導入方法が異なります。

裁量労働制 専門業務型 企画業務型
対象者 労働基準法で定められた対象業務に従事する労働者 企画や立案、調査、分析の業務に従事する労働者
導入方法 労使協定の締結 労使委員会で4/5以上の決議

2024年の法改正では、既述のとおり労使協定や労使委員会の決議の内容が追加されました。条文を確認し、不備なく対応しましょう。

裁量労働制の残業代|よくある質問

裁量労働制の残業代について、よくある質問をまとめました。裁量労働制の導入を検討するときの参考にしてください。

事業場外みなし労働時間制との違いは?

裁量労働制と似た制度として、事業場外みなし労働時間制があります。この制度は、職場の外で業務を行い、使用者が指揮命令できず、労働時間の算定が困難な場合に適用されます。

例えば、外回りの営業などが該当することがあります。ただし、単に職場の外で作業しているだけでは適用されません。現代では携帯電話やWeb会議などで職場と連絡が取れることが一般的になっているため、「算定困難」と認められるケースは少なくなっています。この点には注意が必要です。

なお、労働基準法で定められているみなし労働時間制には以下の3種類があります。

  • 事業場外みなし労働時間制
  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制

これらのみなし労働時間制はいずれも「一定の条件下で所定の時間を勤務したものとみなす」制度です。ただし、割増賃金(時間外・深夜・休日)は除外されない点には留意が必要です。例えば、みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える場合や深夜・休日労働を行った場合には、割増賃金を支払う義務があります。

出典:厚生労働省(「事業場外労働のみなし労働時間」の適正な運用のために)*1

裁量労働制を導入するメリットは?

裁量労働制は、労働者と企業双方にメリットがあります。労働者のメリットは以下のとおりです。

  • 柔軟な働き方ができる
  • 効率的に仕事を進めれば実質的な労働時間を短縮できる

裁量労働制は、自力で専門性の高い業務を進められるスキルが高い方ほど有利な制度です。2021年に厚生労働省が公表した「裁量労働制実態調査」でも、裁量労働制が適用されていることに対する満足度において「満足している」(41.8%)「やや満足している」(38.6%)と答えた労働者が80%以上に上りました。

一方で、企業には以下のメリットがあります。

  • 労務管理の負担が減る
  • 業績に基づく評価がしやすい
  • 優秀な人材や専門性の高い人材を確保しやすくなる

裁量労働制は、高スキル人材に適用しやすいため、生産性向上と競争力強化につながります。

出典:厚生労働省(「裁量労働制実態調査」の結果を公表します

裁量労働制のデメリットは?

裁量労働制にはデメリットも存在します。労働者側のデメリットは以下のとおりです。

  • 働き過ぎにつながりやすい
  • 自己管理が必要

上述の「裁量労働制実態調査」によると、1日の平均労働時間は9時間、1週間の平均労働時間は45時間18分と、ともに法定労働時間を上回っています。また、進捗報告や出退勤時間を自分で決める必要がある場合も多く、自己管理能力が求められる制度です。

一方で、企業には以下のデメリットがあります。

  • 制度導入と運用の負担
  • 残業代発生時の割増賃金計算の煩雑さ

特に企画型裁量労働制では、報告書作成や労基署への届け出など、多くの手続きに負担を感じます。また、労働者ごとの健康管理や苦情処理措置など、新たな対応も求められます。

出典:厚生労働省(「裁量労働制実態調査」の結果を公表します)*1

裁量労働制を導入する方法は?

裁量労働制は、専門業務型と企画業務型で導入に必要な手続きが異なります。大きな違いは労働者側との協議方法です。

  • 専門業務型裁量労働制:
    過半数の労働組合または過半数代表者との労使協定を締結します。
  • 企画業務型裁量労働制
    労使委員会で5分の4以上の多数による決議を行います。

協議以外の手続きには共通点も多く、以下が必要です。

  • 個別の労働契約や就業規則などの整備
  • 所轄労働基準監督署への届け出(専門業務型は協定届、企画業務型は決議届)
  • 本人の同意取得
  • 制度の実施
    • ①健康・福祉確保措置
    • ➁苦情処理措置
    • ③同意をしなかった、同意を撤回した労働者への不利益取扱いの禁止
    • 上記①➁に加え、労働時間、本人の同意取得・撤回の記録の保存
      (期間中と終了後3年間保存)

制度の実施においては、上記に加えて、専門業務型と企画業務型で下記が異なります。

  • 企画業務型裁量労働制
    • 〇労使委員会を6カ月以内ごとに1回以上開催
    • 〇所轄の労働基準監督署への定期的な報告
      (初回は6カ月以内に1回、その後1年以内ごとに1回)

これらを適切に実施し、法令違反や手続き漏れがないよう注意しましょう。

出典:厚生労働省(専門業務型裁量労働制について)*1
出典:厚生労働省(企画業務型裁量労働制について)*1

勤怠管理のお悩み、まずはご相談ください。

まとめ

裁量労働制は労働者の自律的・主体的な働き方を促進し、創造的能力の発揮をめざす制度です。この制度では、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定められた時間を労働時間とみなします。しかし、時間外や深夜、法定休日労働の割増賃金が適用されるため、残業代が不要になる制度ではありません。健康確保措置や苦情対応措置など、実施要件を守ることが重要です。制度の趣旨を理解し、適切に運用しましょう。

裁量労働制の適切な運用には、勤怠管理システムが役立ちます。多様な勤務体系に対応可能なシステムをお探しの方は、 お気軽に当社までお問い合わせください。

【*1】本記事は法令や官公庁公表の情報をわかりやすく解説するためのものであり、すべての詳細や例外を網羅しているわけではありません。各法令や公表されている情報の正確な内容については、出典に掲示されているリンク先をご参照ください。

記事公開日:2025年10月6日

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