RPAはオワコンなのか? 現在の自動化のトレンドとは

2017年ころから日本国内で注目を浴びるようになったRPAは、2019年ころにはブームと言えるほど活況になり、多くの企業で導入が進みました。「業務が大幅に効率化できた」と言った声がある一方で、「期待したほどの効果がなかった」「思ったよりも運用が楽ではなかった」といったネガティブな評価も出てきています。この記事ではRPAが時にオワコン(※)と言われてしまう理由と、現在注目されている新たな自動化のトレンドについて解説します。
※オワコン:終わったコンテンツ、人気や需要がなくなったもの

RPAとは

RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、PC上で行う業務を記憶したソフトウェアロボットが、その手順を再現することで業務を自動化する技術のことです。人間に代わって作業を行うことができるため、デジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれています。

具体的には、顧客からメールで送られてきた発注リストの内容を受注管理システムに転記したり、競合他社のECサイトに掲載されている価格を調査し、取得したデータをExcelにまとめたりといった業務を自動化することが可能。単純ながら手作業で行うには時間がかかるような業務を正確かつスピーディーに処理し、業務効率化を実現します。

RPAが広がった背景とは

RPAがブームと言われるほど日本企業での導入が進んだ背景には、2つの理由があります。

1つ目は労働力人口の減少です。少子高齢化が加速する日本では、すでに労働力不足が顕在化しており、企業にとっては業務効率化が大きな課題です。そんな状況で登場したRPAに期待をした企業が相次いで導入をしたことは当然の流れと言えるでしょう。

2つ目は働き方改革です。国際競争力を維持するため、企業の生産性向上が課題となっており、日本政府はその一環として働き方改革を推進しています。従業員の業務負荷を軽減し、働きやすい環境を整備するという目的と、1つ目の業務効率化の実現と相まって、RPAを導入した企業も少なくありません。

なぜRPAはオワコンや効果がないと言われるのか

RPAの導入に成功し、一定の成果を上げている企業があるからこそ、RPAは着実に浸透してきています。それにもかかわらず、「ブームが終わった」「効果がない」といった否定的な声も一部で聞かれます。そうした声が出る背景には、RPA導入が失敗に終わり期待したほどの成果を得られなかったケースがあるようです。主な失敗要因として、以下の4つが挙げられます。

やりたい自動化ができない

「RPAが人間に代わって何でもやってくれる」と期待して導入したものの、業務の中の一部にしか適用できず、やりたい自動化が実現できなかったというケースです。そもそもRPAは万能ではありません。作業手順が決まっている定型業務を自動化することは得意ですが、人間のように臨機応変に対応することはできません。RPAの特性を正しく理解できていなかったがゆえに、導入に失敗。期待したような効果が得られなかったと考えられます。

人材不足

RPAツールは「プログラミング知識がなくても扱える」と言われているとおり、簡単に活用できるものも多くあります。しかし、自動化したい業務が複雑な場合には、それなりに知識やノウハウが必要です。自社内にRPAの知識を習得した人材がいないと、思うような自動化を実現するのは難しくなります。また、通常業務を行いながら、RPA導入も並行して進めるには業務負荷が増えてしまうため、RPAを推進するチームをつくりたいところですが、なかなか人員を割くことができないと企業もあります。

ロボットの管理・運用に手がとられる

RPAを無事に導入できたとしても、運用開始当初はエラーが頻発することがあります。その後も、導入した業務に関連するシステムやアプリケーションの仕様変更などでRPAがうまく働かなかったり、業務手順が変わってシナリオを変更しなければならなかったりと、定期的なメンテナンスは必要です。そういった管理・運用の手間が思った以上に負担となり、せっかく導入したRPAを途中でやめてしまうという事例もあります。

社内に利用を広げられず、効果が限定的になる

まずスモールスタートでRPAを導入した企業が、少しずつ社内で適用範囲を広げて、より高い効果を上げようとしても、組織の壁に阻まれてしまうケースがあります。RPAを導入するには、業務の洗い出しなどの事前準備が重要です。組織をまたいだ業務にRPAを導入したい場合には、両組織が協力して進めていく必要がありますが、旗振り役となってRPAを推進する人材がいないなど、足並みが揃わずに、プロジェクトが頓挫することも珍しくありません。

本当にRPAはブームが終わったのか?

RPAにはメリットもあれば、デメリットもあります。上記のような失敗例はデメリットが強く出てしまったことが原因で、うまく導入・運用ができれば、メリットを最大化し、きちんと成果を上げることができます。ここからは、今後RPAを導入する企業が知っておくべき「ハイパーオートメーション」など、RPAを引き続き活用していくためのポイントを解説します。

AIなどを取り入れた「ハイパーオートメーション」という新しい自動化の考え方

業務自動化を実現するための方法としては、RPAやExcelなどのOfficeソフトの機能であるマクロの活用が浸透していますが、近年ハイパーオートメーションという新しい自動化の概念が登場し、注目され始めています。

ハイパーオートメーションは、ツールやテクノロジーを単体で活用するのではなく、AIやRPA、iPaaSといったさまざまな技術を組み合わせることで、より幅広い業務を自動化しようとする考え方です。業務単位ではなく複数の業務からなるプロセス全体を自動化できるため、従来よりも高いレベルでの生産性向上を実現できます。

そして、このハイパーオートメーションを支える技術の中核となるのがAI(人工知能)です。AIを活用することで、従来は自動化が難しかったデータの識別や判断といった処理をソフトウェアに任せることができ、RPA単体では対応できなかった業務も自動化の対象に含めることができます。

例えば、AI-OCRを使って紙の帳票から必要な情報を読み取りデジタル化し、そのデータをRPAが基幹システムに入力するといったAI×RPAによる自動化が可能です。これにより、これまで人手に頼っていた業務も効率化できます。

さらに、AIがメールやチャットの内容を解析して処理方法を判断し、その指示に従ってRPAが定型業務を実行するといった形で、問い合わせ対応プロセスを自動化することも可能です。AIとRPAを組み合わせることで、より高度な業務を自動化できるようになります。

大切なのは適材適所のテクノロジー活用

さまざまなテクノロジーやツールを組み合わせて、自動化を実現しようとするハイパーオートメーションの考え方にも表れているように、一つひとつのテクノロジーには得意なこと・不得意なことがあり、それぞれが補完し合うように活用することが大切です。

RPAは決められた手順に従い、正確に処理するのを得意としていますが、人間のように判断することが不得意です。それに対して、AIはどの情報が必要なのかを自分で判断することができます。

例えば、マーケティングツールとAIをiPaaSで連携し、AIが膨大なデータを分析したうえで適切な処理方法を判断。そこからさらにAIがRPAに指示を出し、RPAがその指示に従って正確に処理を行うといった活用をすれば、より幅広い業務を自動化することが可能です。

難しいポイントは専門家に相談

この記事でも少し触れたように、テクノロジーの能力を最大限に引き出すためには、やはり知識やノウハウが必要です。社内の人材だけで課題をなかなか解決できない場合には、プロに相談するほうが効率的なケースも多くあります。どこにどれだけのコストをかけるのか、結果としてどのくらい生産性が上がるのかを分析しながら、自社環境に合った導入の筋道を検討するのがおすすめです。

まとめ

この記事では、RPAの現状やハイパーオートメーションという新しい自動化の概念などを紹介しましたが、日立ソリューションズではRPAの導入はもちろん、ハイパーオートメーションによる業務プロセス全体の自動化の支援を行っています。例えば、オンプレミス環境にある社内システムやSaaS、RPAなどを連携することで自動化を実現するiPaaS「Workato」や、RPAの運用や人材不足に課題を抱えている場合には、RPAに関わる業務をまるごとお任せいただける「RPA業務支援BPOサービス」もあります。業務自動化を検討されている企業の方や、RPAを導入したもののうまく運用ができていない企業の方は、ぜひ日立ソリューションズにご相談ください。

日立ソリューションズではWorkatoのご提供および伴走支援を行っています。さらに、豊富な自社利用実績をもとに充実したサポートも行っています。システム間連携や業務プロセスの自動化の内製化をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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