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コールセンターCRMはCSMで完結|顧客管理 からケース管理(応対履歴)までをカバー

2026年4月28日

コールセンター業務は、問い合わせチャネルの増加や履歴分散により、応対品質のばらつきや後処理の負荷が発生しやすくなります。品質向上と効率化を両立させるには、CRMで顧客情報と応対履歴を統合し、CTI連携やナレッジ運用で標準化することが有効です。本記事ではCRMの役割や主要機能、導入メリットを解説します。さらに、顧客情報管理やケース管理の機能を備え、問い合わせの受付から解決までのプロセス改善につなげやすいCSMについても紹介します。

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目次

  1. CRMとは


    1-1.コールセンター向けCRMの役割


    1-2.コールセンターでCRMが重視される背景


    1-3.CRMとCTIの違い


    1-4.CRMとCSMとの違い

  2. コールセンター向けCRMの主要機能


    2-1.顧客情報管理と応対履歴の一元管理


    2-2.CTI連携


    2-3.FAQ・ナレッジ


    2-4.チケット・ワークフロー


    2-5.レポート・分析


    2-6.セキュリティ・権限・監査

  3. コールセンターにCRMを導入するメリット


    3-1.企業・管理者のメリット


    3-2.オペレーターのメリット


    3-3.顧客のメリット

  4. コールセンターで進むAI活用とオムニチャネル化


    4-1.音声認識や自動要約などで後処理の負荷を軽減


    4-2.チャットボット・ボイスボットとの連携


    4-3.電話・メール・SNS・チャットの統合


    4-4.セルフサービスとケース運用の高度化

  5. コールセンターに導入するCRMの選定ポイント


    5-1.提供形態と導入スピード


    5-2.規模と拡張性


    5-3.既存CTI・PBXとの連携可否


    5-4.UI・UXと現場への定着度


    5-5.カスタマイズ性と外部連携(API)


    5-6.セキュリティとサポート体制


    5-7.CRMの代わりにCSMを検討すべきケース

  6. コールセンターへのCSM導入ステップと注意点


    6-1.導入目的と解決したい課題とKPIの明確化


    6-2.部門横断でのワークフローとトライアル設計


    6-3.顧客情報とケース管理の最適化


    6-4.プレイブックとナレッジの整備による標準化


    6-5.プロセスマイニングを活用した継続的な改善

  7. CSM導入で顧客情報管理と問題解決をワンストップに

CRMとは

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報・接点履歴を統合し、顧客との関係を継続的に改善する仕組みです。ここでは、コールセンターにおけるCRMの役割や重視される背景、CRMと混同されやすい関連用語との違いを説明します。

また、本記事でご紹介するソリューションでは、顧客情報の管理やケース管理(応対履歴)といったCRM領域をカバーする中心的な製品を「CSM(Customer Service Management)」と呼んでいます。まずはCRMの基本概念を整理したうえで、このCSMの導入によって実際のコールセンター業務がどのように完結し、さらなる高度化を実現できるのかについても紐解いていきましょう。

コールセンター向けCRMの役割

コールセンターにCRMを活用することで、顧客情報と問い合わせ履歴が一元化され、応対の判断材料をすぐに参照できます。顧客単位でいつ、どのチャネルで何を相談し、どのように解決したかが時系列で蓄積され、オペレーター(エージェント。以下、オペレーターと呼びます)は過去の経緯や契約状況を同じ画面で確認でき、聞き直しや判断の迷いを減らせます。

また、引き継ぎ時も履歴や次アクションを記録しておけるため、再入電時にも継続対応の体制を整えやすいでしょう。要望や不満といったVOC(顧客の声)をカテゴリー化して、FAQの更新やスタッフ教育、製品改善の材料に生かせます。ただし、個人情報保護の観点から、閲覧権限やログ監査の設計を前提に運用する必要があります。

コールセンターでCRMが重視される背景

コールセンターでは、メールやチャット、SNSなど電話以外での問い合わせチャネルが増えています。同一顧客が複数のチャネルで連絡を取った場合には履歴が分散し、対応方針がぶれやすくなります。さらに、チャネルごとの管理ツールが別になっていると、過去のやり取りを探す手間が増え、回答の一貫性を保てません。

また、近年は人手不足が深刻化しており、属人化した運用よりも、標準化をめざした情報共有と手順整備の重要性が高まりました。コンプライアンス上も、誰が何を案内したか記録し追跡できる仕組みづくりが望ましいです。加えて、近年は顧客体験の向上が企業の競争優位性を左右しています。日々の応対結果やVOCを詳細に分析し、それをスピーディーにサービス改善へ反映させる動きが強まっています。AIによる音声認識や文章要約の活用も広がっており、検索可能な履歴データの整備も進んでいます。

CRMとCTIの違い

CTI(Computer Telephony Integration)は電話設備とシステムを連携し、着信制御、IVR・ACD、通話録音、ポップアップ表示などで電話応対を支える技術です。一方、CRMは顧客情報と応対履歴を管理し、対応状況の共有、過去経緯の参照、次アクションの整理を担います。

大きな違いは、それぞれの管理対象にあります。CTIが「通話とオペレーション」を管理するのに対し、CRMは「顧客と履歴」を管理しており、導入の目的も異なります。
両者を連携すると、着信と同時に顧客情報を表示し、本人確認や状況把握の手順を短縮できます。通話ログや録音リンク、メモをCRM側の履歴に紐づけ、後追い調査や品質管理の材料にすることも可能です。

架電では、CTIのクリックトゥコールと通話履歴の自動記録を使用することで、対応漏れと重複対応を抑制できます。CTIはリアルタイムの通話体験を整え、CRMは履歴データを蓄積して改善に役立てるといった役割の違いを理解しておくとよいでしょう。

CRMとCSMとの違い

CSMは、問い合わせを「ケース」として管理し、受付から解決までのプロセス全体を最適化する仕組みです。一般的にCRMが営業活動や顧客関係を中心に顧客情報を管理するのに対し、CSMはケース対応に必要な顧客情報(プロファイル、利用製品、過去の履歴など)をケースと紐づけて参照・更新・蓄積しながら、解決までのワークフローを回すことに主眼を置きます。

CSMの導入により、ケースの分類や優先度付け、担当割り当て、SLA(サービスレベル合意)管理、ナレッジ活用などを通じて対応を標準化し、業務の可視化と改善につなげられます。「顧客データ」と「解決プロセス」を分断せず、単一プラットフォーム上で情報参照とケース処理を一体で運用できるのが強みです。問い合わせの受付から解決までというコールセンターの中核業務は、CSMを中心に据えることで、高い完結度で遂行できるようになります。

オペレーターは複数のシステムを行き来することなく、CSMのワークスペース上で顧客の背景や履歴を確認し、ケース対応を進められます。なお、受注・請求・契約などの基幹領域や、契約にもとづくサービス利用権(サポート範囲や有効期間など)の情報は、既存の基幹システム(ERP)や受注・請求・契約管理システムと連携して扱うこともあります。
また、本記事では後述するソリューション「ServiceNow」も取り上げます。注文管理まで含めて単一基盤で運用したい場合は、ServiceNowが提供するSOM(Sales Order Management)の活用も選択肢です。
こうしたCSMとSOMの役割分担や適用範囲の考え方、具体的な導入事例は、資料で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

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2026年3月
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コールセンター向けCRMの主要機能

コールセンターにCRMを導入すれば、顧客情報と応対履歴を中心に、問い合わせ対応の判断材料を集約できます。ここでは、コールセンター向けCRMが備えている主要な機能について詳しく解説します。

顧客情報管理と応対履歴の一元管理

CRMは、顧客の連絡先や契約状況などの基本情報を顧客単位で管理します。電話やメール、チャットといったチャネルを横断して応対履歴を時系列に蓄積し、過去の経緯や注意事項など、対応時の前提を共有可能です。これにより、再入電時でも前回までの内容と次アクションを参照できる状態を整備できます。

また、問い合わせ内容を分類し、VOCとしてFAQ更新や教育などの改善活動に活用できます。情報の更新責任(誰が、いつ、どの項目を更新するか)を運用ルールに落とし込むことも重要です。

CTI連携

CTIは着信分配などの電話業務を支え、CRMは顧客情報と履歴を管理します。両者を連携させる際は、電話番号などの識別子で顧客情報を紐づける設計が基本です。着信時のポップアップで顧客情報と過去履歴を表示し、本人確認と状況把握の時間を短縮します。通話ログや録音リンクなどを応対履歴に連動させられるため、後追い確認や品質管理に効果的です。

クリックトゥコールや発着信履歴の自動記録によって架電業務と入力負荷も下げられます。ただし、過剰入力にならないよう、適切な連携範囲に設定する必要があります。

FAQ・ナレッジ

オペレーター向けの対応手順と顧客向けのFAQを整理し、管理します。カテゴリー設計やタグ付け、更新フローを整えておくことで、検索時に必要な情報へスムースに到達できます。応対ログから不足しているナレッジを特定し、追加や改定、廃止のサイクルを回すことも可能です。

また、顧客向けのFAQをヘルプセンターやポータルで公開し、自己解決率を高める導線をつくることができます。AI検索などを利用する場合も、社内で承認・管理された最新のナレッジにもとづく運用が前提です。重要な変更は版管理と承認を通し、現場が参照する情報の信頼性を維持するようにします。

チケット・ワークフロー

問い合わせをチケット(ケース)として起票し、未対応や対応中、保留、完了といった状態で管理できます。優先度や期限、担当、カテゴリーを付与して対応漏れや遅延を抑えられます。エスカレーションや部門連携をタスク化し、誰が何を待っているかを可視化します。

定型の問い合わせは、フロー化して手順のばらつきと属人化を抑えることが重要です。SLAなどの管理が必要な場合は、ケースワークフローの設計を中心に進めます。また、チケット運用のKPI(一次解決率、処理時間、滞留件数)を定義し、改善サイクルにつなげます。

レポート・分析

応対量や応答率、一次解決率といった運用KPIを定義し、これらをチャネル別やカテゴリー別、担当別で集計して、偏りやボトルネックを把握します。VOCを分類して傾向を可視化し、FAQの改定やオペレーターの教育、手順見直しなどの根拠とします。

ダッシュボード(管理画面)を活用して現場と管理者が同じ指標を把握することで、改善の判断を統一することが可能です。分析結果を施策に落とし込み、実施後の指標変化で効果を検証します。ただ情報を集めるだけでなく、データの粒度と分析目的を合わせることが求められます。

セキュリティ・権限・監査

セキュリティに関しては、個人情報の慎重な取り扱いを前提として、担当者ごとのアクセス範囲を厳格にする設計とします。利用者の識別と認証を行い、役割に応じた最小権限で運用します。データの参照や更新、エクスポートなどの操作ログを取得し、監査とインシデント調査に備えることが必要です。

さらに、異動や退職に伴う権限の棚卸しも運用手順に組み込みます。内部不正や誤操作を想定して、ルールの周知や教育、監視を含めた統制を整え、ログ監査は点検と保管のルールを定めることが重要です。

コールセンターにCRMを導入するメリット

CRM導入のメリットは多岐にわたります。ここでは、システムを活用することで得られる効果について、企業・管理者、オペレーター、顧客の3つの視点それぞれで整理し、解説します。

企業・管理者のメリット

応対履歴とナレッジを標準化し、スクリプトやFAQ、テンプレートを共通化することで、応対品質のばらつきや教育コストを抑えられます。VOCを分類・集計し、製品や手続きなどの改善テーマに落とし込み、企画や開発など他部門へ展開することが可能です。

また、対応状況とKPIをダッシュボードで可視化し、滞留やクレーム傾向を把握して改善サイクルを回せます。問い合わせ対応の履歴と判断根拠を残すことで、品質監査やコンプライアンスへの対応にも備えられます。

オペレーターのメリット

CTI連携により着信時に顧客情報と過去履歴を表示できるため、オペレーターが行う本人確認や状況把握の手間が省けます。通話ログやメモなどの履歴連動により後処理負荷も抑えられます。

さらに、ナレッジやスクリプトを検索して回答根拠を揃えることで、対応の迷いや聞き直しを減らせるのもメリットです。入力項目を目的に合わせて調整し、選択式やテンプレートを活用してデータ品質の維持と業務量の軽減を両立させます。過去のクレーム経緯や注意事項が見えることで、オペレーターの心理的負担も軽くできます。

顧客のメリット

応対履歴を電話やメール、チャットなどで統合することで、顧客が繰り返し同じ説明をしたり、複数の窓口へたらい回しにされたりする状況を防げます。適切な担当者への振り分けと進捗管理により、待ち時間と解決までの期間を短縮することが可能です。

顧客属性や過去の経緯を踏まえた案内を受けることで、対応の納得感と顧客体験が高まります。さらに、FAQやチャットボットを整備しておけば自己解決につながり、混雑も緩和されます。対応状況を追える仕組みを用意し、進捗を確認できる導線設計により、顧客の不安をさらに低減できるでしょう。

コールセンターで進むAI活用とオムニチャネル化

近年はコールセンターでのAI活用が進められています。それだけでなく、顧客のライフスタイルに合わせて多様な問い合わせ方法に対応することも求められています。ここでは、AI活用とオムニチャネル化について詳しく説明します。

音声認識や自動要約などで後処理の負荷を軽減

音声認識によって通話内容をテキスト化し、生成AIで問い合わせ背景・対応内容・結論を定型フォーマットに沿って整理します。自動要約は確認と補正が前提となりますが、後処理時間の短縮や記録漏れの防止に有効です。粒度と表現を揃えて蓄積し、要約結果をCRMに連携して再入電時の状況把握の材料にします。

テキストデータはVOC抽出とカテゴリー分類に展開し、FAQや手順の見直しに役立てます。品質監査では要約と録音を突合し、教育とスクリプト改善の根拠とします。また、録音や文字起こしの取り扱い、保存期間、権限管理などの運用ルールを定めることも必要です。

チャットボット・ボイスボットとの連携

チャットボットはWebやアプリケーションの一次受付、ボイスボットは電話の一次応対として、FAQへの誘導や手続き案内などの自動化が可能です。CTIやIVRと連携して受付から振り分けまでを自動化することで、混雑時のあふれ呼対策にもなります。ボットで完結しない場合は有人の窓口へ接続し、要約と対話ログを引き継ぎます。

利用データを分析し、FAQ追加や導線改善で自己解決率を高めることもポイントです。シナリオ設計では対象業務と例外処理を定義し、誤案内時のリカバリー手順を用意します。個人情報を含む音声やテキストログは、保存期間と権限管理を統制して運用することが大切です。

電話・メール・SNS・チャットの統合

電話やメール、SNS、チャットの問い合わせを同一顧客に紐づけるため、顧客ID連携とデータ項目を定義し、CRMの顧客情報と整合を取って接点履歴を一元化します。どのチャネルでも過去履歴と対応状況を参照できるようになり、説明の重複と対応漏れを抑えるのに有効です。チャネルごとの受付ルールと優先度を定義しておき、用件に応じて担当グループへルーティングします。

受付から解決までのKPIを共通化し、チャネル別の滞留や再入電の傾向を把握します。外部チャネルのメッセージ内容も履歴として保存でき、品質管理と監査に備えられます。混雑時はデジタル窓口やセルフサービスへ誘導して、問い合わせ件数を分散させることが可能です。

セルフサービスとケース運用の高度化

顧客ポータルでFAQ検索や申請フォームを提供すれば、セルフサービスの充実を図るのに有効です。さらにチャットボットでの案内を基本とし、必要な場合にのみ起票へ誘導する運用にすれば、コールセンター全体の省力化も図れます。ケース管理で問い合わせ内容を顧客情報と紐づけて、状態・期限・担当を一元管理でき、SLAの期限管理とエスカレーションで部門またぎの対応が発生しても追跡可能です。

オペレーターは顧客情報やナレッジを同一画面で扱えるため、応対の抜け漏れが起こりにくくなります。スキルや稼働を考慮した割り当てにより、対応遅延の抑制にも効果的です。さらに、プロセスマイニング(業務フロー分析)を活用すると、処理経路のボトルネックや手戻りを可視化して改善につなげられます。

コールセンターに導入するCRMの選定ポイント

CRM導入はコールセンター業務の効率と品質を向上させるのに役立ちます。ここでは、自社に合ったCRMの選定ポイントについて説明します。

提供形態と導入スピード

クラウド型には、初期投資の抑制、短期導入、自動アップデートといったメリットがあります。一方、オンプレミス型は構成や権限設計を細かく作り込めますが、運用負荷やシステムの更改計画にハードルがあります。

選定時は、在宅や多拠点、繁閑による席数変動を想定し、ネットワークや認証方式を含めて比較するのがポイントです。また、SLAや障害時の復旧目標、データ保管場所、バックアップ体制、サポート窓口なども契約前に把握しておく必要があります。あわせて、既存のCTI・PBXや基幹システムとの連携方式(API、ファイル連携、iPaaSなど)と、それに伴う追加費用の有無についても確認が必要です。

さらに、個人情報の安全管理措置に合わせ、暗号化やログ、監査証跡、権限分離の要件を整理します。将来のベンダー変更やデータ移行を想定し、エクスポート形式や解約時のデータ消去に関しても、明確にしておくことが重要です。ピーク時の同時接続や検索レスポンスは、トライアルで実際の性能を評価します。

規模と拡張性

現状の席数と同時稼働数だけでなく、繁忙期の増員や委託先の増加を想定して上限を見積もります。電話以外にメールやチャット、SNSを扱う場合、チャネルの追加が運用や費用に与える影響も勘案します。顧客数や履歴件数、録音・文字起こしのデータ量が増加した場合の、検索性能と保管方針の確認も欠かせません。

また、権限体系が複雑になることを予見し、拠点や業務別にロールを分けられるかを把握しておきます。AI要約やナレッジ管理などの機能が後付けできる構成か、追加ライセンスの条件はどのようになっているかも確認します。

レポートなどの集計負荷が大きくなる前提で、集計設計と保持期間を運用ルールに落とし込みます。障害時の切り戻しや多拠点の冗長化など、BCP(事業継続計画)の要件も事前に整理しておきましょう。

既存CTI・PBXとの連携可否

現行のCTI・PBXの方式(クラウド型かオンプレミス型か)と、着信や録音、IVRのどの機能が連携対象となっているかを棚卸しします。そのうえで、着信ポップアップや履歴連動など、連携によって実現したい機能を具体化します。

CTI側の連携方式と提供可否をベンダーに確認するだけでなく、通話中の画面遷移や保留・転送、後処理時間の計測まで、トライアル環境で実際の業務フローを再現することが大切です。トライアル段階で求める水準に達していない場合は、再検討の余地があります。

また、音声データや通話メタ情報の保存範囲、検索条件、監査ログの取り扱いを決定します。障害時の代替手順も策定し、電話のみでの運用や手動登録などを運用ドキュメントに組み込みます。

UI・UXと現場への定着度

新人から熟練者、管理者まで、利用者別の観点でUI・UXや導線を評価します。検索の速さや履歴参照の見やすさ、ショートカット、テンプレート入力など、応対中の操作負荷の検証も重要です。入力項目は目的やKPIに直結するものに絞り、必須や任意、自動取得を設計できるか確認します。

現場に合わせて用語やカテゴリー体系、項目名、選択肢を変更・調整できるか、ナレッジの参照と更新が同じ画面で完結するか、品質を維持するためのワークフローがあるかなども選定ポイントになる場合があります。

定着の指標となる利用率や一次解決率などを決め、それらをダッシュボードで追跡する機能も必要です。改善要望に応じて柔軟かつ即座に更新できるCRMなら、現場での定着度も高まるでしょう。

カスタマイズ性と外部連携(API)

導入前に、基幹システムやEC、ID管理など、連携したい周辺システムの洗い出しが必要です。また、顧客マスターや対応履歴については、どのシステムのデータを正とするかを定めておきます。API連携の方式と運用監視の責任分界を決め、呼び出し回数などの制限や、エラー時の再送と重複排除の設計を確認します。

データ連携ツールを使う場合は、変換ルールやスケジュール、運用コストなども見積もらなければなりません。標準機能で足りない部分は設定で吸収し、個別開発を行う場合は将来のアップデートへの影響も想定しておく必要があります。テスト環境の扱いを決め、リリース手順とロールバック手順を明文化します。SSO(シングルサインオン)や権限連携を含めて認証と認可を統一し、監査性を確保できるかもポイントです。

セキュリティとサポート体制

個人情報の取り扱いを前提に、アクセス制御や認証、権限付与の手順を運用規程に落とし込みます。監査ログの取得範囲や保管期間、閲覧権限、改ざん防止、外部保管の設計を行います。通信と保存の暗号化、バックアップ、復旧手順、データ消去の方法も把握しておくとよいでしょう。

端末の持ち出しや在宅運用を想定し、端末管理や画面のマスキング、ダウンロード制御の可否を確認します。クラウドの場合は第三者認証の取得状況や、委託先管理の方法もチェックしてください。

重大障害時や情報漏洩時の連絡経路、一次回答時間、エスカレーション、レポート提出などを契約で明確化します。導入や運用の支援、トレーニングの範囲と費用を整理し、自社の既存システムとの連携・役割分担が円滑に進むよう、サポートの可否を確認します。

CRMの代わりにCSMを検討すべきケース

以下のようなケースに当てはまるなら、CRM中心の運用ではなくCSM中心の運用を検討するとよいでしょう。

  • 1. 問い合わせが一次窓口で完結せず、部門横断的な「解決」が必要な場合
  • 2. 顧客情報や保有資産、対応履歴と、対応プロセスを一体で運用したい場合
  • 3. 顧客接点のデジタル化と、定型業務の自動化を進めたい場合
  • 4. 属人化を排し、対応品質と解決スピードを向上させたい場合
(1)問い合わせが一次窓口で完結せず、部門横断的な「解決」が必要な場合

オペレーターだけでは完了できず、開発や物流、外部委託先などへの調査依頼や手配が必要になる問い合わせが多いなら、ケースを起点にタスクやワークフローを連携させて解決プロセス全体を管理できるCSMが適しています。

(2)顧客情報や保有資産、対応履歴と、対応プロセスを一体で運用したい場合

CSMの「顧客セントラル(一元管理画面)」を起点に、顧客の基本情報や連絡先、購入済みの製品情報、過去の対応履歴を統合的に参照できるため、それらを確認しながらケース対応を進めたい場合に有効です。契約・サポート範囲などの情報を、受注・契約管理を含む領域と連携して参照・活用する運用も想定されます。

(3)顧客接点のデジタル化と、定型業務の自動化を進めたい場合

顧客ポータルでの、ナレッジ活用によって自己解決を促すとともに、サービスカタログを通じて後続業務を自動化できるのがCSMの強みです。フロントでの入力内容を解決プロセスにつなげられるため、オペレーターによるデータの転記や他部署への連絡といった定型的な工数の削減を支援します。

(4)属人化を排し、対応品質と解決スピードを向上させたい場合

対応手順を「プレイブック(デジタル化された手順書)」として標準化し、分類や優先度付け、担当割り当て、SLA管理などをケース運用に組み込むことで、経験が浅い担当者でも一定品質で迅速な解決が可能になります。

コールセンターへのCSM導入ステップと注意点

コールセンターにCSMを導入する際は、単なる問い合わせ記録システムとしてではなく、顧客の課題を解決するためのプラットフォームとして設計することが重要です。部門を越えた連携や自動化を見据えた導入ステップと注意点を解説します。

導入目的と解決したい課題とKPIの明確化

CSM導入の目的として、解決プロセスの迅速化や効率化をKGIとして定義します。KPIには応答率だけでなく、解決までのリードタイム、他部門へのエスカレーション率、顧客ポータルでの自己解決率といった顧客体験全体に関わる指標を設定します。現状の問い合わせ内容を分析し、自動化できる定型業務と、人が対応すべき複雑なケースを分類することがポイントです。導入前の測定に加え、どの部門で滞留しているかというボトルネックを可視化する指標も検討します。

部門横断でのワークフローとトライアル設計

トライアルの対象はオペレーターだけでなく、エスカレーション先となる技術や開発、経理などの他部門も含めて設計します。現場対応まで含む要件がある場合は、フィールドサービス部門も含めて検証範囲を広げます。CSMなら、経験不足の担当者でも標準プロセス通りに対応できるか、プレイブックを用いて実務に近いシナリオで検証可能です。

問い合わせが部門をまたぐ際に、タスクの自動割り当てや通知が正しく機能するかを確認します。顧客ポータルの使用感も検証し、FAQ検索やステータス確認がスムースに行えるか顧客視点でのテストを実施します。

顧客情報とケース管理の最適化

CSM上の顧客セントラルなどで一元参照する基本情報や連絡先、購入済みの製品情報、過去の対応履歴などを定義し、オペレーターが迷わず必要な情報を参照できるようにします。問い合わせをケースとして管理し、製品情報や関連情報と紐づけることで入力の手間を省きつつデータの整合性を確保します。

契約やエンタイトルメントなどの情報は、受注や契約管理を含む領域(SOM)と連携して参照する運用も想定されます。入力項目は選択式や自動入力を採用して表記揺れをなくし、後のプロセスマイニングなどの分析に活用しやすくすることが重要です。権限設定では、自社の顧客情報へのアクセス制御だけでなく外部の協力会社が関与する範囲も踏まえてセキュリティ設計を行います。

プレイブックとナレッジの整備による標準化

システム画面上に手順が表示されるプレイブックを整備し、研修ではその操作習熟に重点を置くことで、コールセンター業務の標準化が実現します。ナレッジはオペレーター向けの詳細技術情報と顧客公開用のFAQを区分して整備し、自己解決を促進するようにコンテンツを充実させましょう。

よくある申請や手続きはサービスカタログとしてテンプレート化し、顧客がWebから簡単に依頼できる仕組みを整えます。加えて、現場からのフィードバックを速やかにナレッジやプレイブックの修正へ反映させる運用フローも構築します。

プロセスマイニングを活用した継続的な改善

ダッシュボードでケースの滞留状況やSLA遵守率を継続的にモニタリングし、問題があれば早期に介入します。プロセスマイニング機能を活用して解決プロセスのログを分析し、繰り返し発生している無駄な手順やボトルネックを特定して改善を図ることが重要です。

顧客満足度や業務効率の相関も含めて指標を見直し、自動化の範囲拡大やナレッジ整備、チャットボットのシナリオ改善を検討します。製品開発や品質管理といった他部門と定期的にデータを共有し、製品改善や根本的な問い合わせ削減のアクションにつなげます。

CSM導入で顧客情報管理と問題解決をワンストップに

CRMは顧客情報と応対履歴の基盤を整えられますが、通常はコールセンター業務の一部を担うにとどまります。一方ServiceNowのCSMなら、顧客情報や応対履歴の管理だけでなく、問い合わせの「解決」に至るプロセス全体を単一プラットフォームで完結できる点が強みです。

CSMの導入により、主に以下のことが可能になります。

  • スマートなセルフサービスの実現
  • プロセスの自動化と最適化
  • オペレーターの生産性向上
  • 価値を実現するまでの時間短縮

顧客ポータルやナレッジ活用による自己解決の促進に加え、部門をまたぐケース対応や進捗管理も単一プラットフォーム上で一元的に管理できます。結果として業務の属人化を防ぎ、コールセンターの応対品質向上に大きく寄与します。また、契約管理や受注処理の部分に重きを置きたい場合は、SOMの導入を視野に入れてもよいでしょう。

日立ソリューションズでは、ServiceNowリセラーパートナーとしての豊富な実績をもとに、導入検討からPoV(価値検証)、運用定着・継続改善まで一貫して支援しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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