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ヘルプデスク×生成AIで実現する業務効率化|問い合わせ削減と属人化解消への道筋

2026年4月28日

近年のヘルプデスク業務は、問い合わせ件数の増加や問い合わせチャネルの多様化により、効率化が避けられなくなってきました。慢性的な人手不足に加え、問い合わせ内容の複雑化も相まって、業務の属人化が深刻な課題です。

これらの有効な解決策として、生成AIの活用が挙げられます。本記事では、ヘルプデスクにおける現状の課題を踏まえ、AI活用による効率化の必要性や導入のポイントなどを解説します。

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目次

  1. なぜ今、ヘルプデスクの効率化に「AI」が必要なのか


    1-1.人力対応に限界がある


    1-2.ユーザー側で自己解決が難しい


    1-3.コスト削減とEX(従業員体験)の両立が求められている

  2. ヘルプデスクの効率化を阻む3つの構造的課題


    2-1.問い合わせの増加が、一次対応をひっ迫させている


    2-2.ナレッジが整備されず、自己解決・一次解決が伸びない


    2-3.振り分け・引き継ぎとデータ分散が改善サイクルを止める

  3. ヘルプデスク業務へのAI導入のポイント


    3-1.省力化と標準化の両立


    3-2.生成AIの得意・不得意領域の把握とガードレール設計


    3-3.ヘルプデスク業務におけるAIエージェントの有効性

  4. AI活用でヘルプデスク業務を効率化する3つの施策


    4-1.施策①問い合わせを減らす:自己解決率の向上


    4-2.施策②対応スピードを上げる:一次解決率とMTTR(平均解決時間)の改善


    4-3.施策③データ管理をしやすくする:運用の自動化と分析

  5. AIの効果を高めるための統合プラットフォームの優位性


    5-1.窓口とデータの一元化


    5-2.ワークフローの標準化・自動化

  6. ヘルプデスクAI導入のロードマップ


    6-1.STEP1:現状可視化と業務の切り分け


    6-2.STEP2:データ整備とナレッジの棚卸し


    6-3.STEP3:パイロット部門での効果検証


    6-4.STEP4:KPI設定とPDCA

  7. AI導入でヘルプデスクの効率化を図ろう

なぜ今、ヘルプデスクの効率化に「AI」が必要なのか

人手に依存したヘルプデスク運用では、さまざまな要因によって従来の対応が難しくなってきています。ここでは、ヘルプデスクの効率化が求められる背景として、人力対応の限界、自己解決の難しさ、コスト削減とEX(従業員体験)を両立させる必要性を解説します。

人力対応に限界がある

テレワークやSaaS利用の増加で、アカウント・端末・接続・権限などの定型の問い合わせが増えています。扱っているサービスが増えるほど、設定や権限、端末、環境の違いによる切り分けが難しくなり、一次対応の負荷が大きくなりやすいです。

問い合わせチャネルが電話・メール・チャットなどに分散すると、状況共有や履歴追跡が煩雑になり、対応の抜け漏れや二重対応も頻発します。特に、Excel台帳や個人メモをベースに運用している場合は、情報の更新や共有が遅くなりがちで検索性も低いため、確認作業や再調査が何度も繰り返されるケースがあります。

また、端末管理や会議設定、クラウド利用などではセキュリティ面も踏まえた判断が重要です。より高度な対応スキルが求められるため、特定の担当者に業務が集中する現場もあるでしょう。こうした属人化を防ぎ、一次対応を標準化・効率化するために、生成AIを取り入れて一次対応の負荷を減らす施策を検討する必要があります。

ユーザー側で自己解決が難しい

困りごとのあるユーザーの多くは「何が原因かわからない」状態であるため、FAQが用意されていても、キーワード検索が前提では入口でつまずく可能性が高いです。解決につながる情報があっても、分類がユーザーの言葉と合っていない、表記揺れや略語に対応できない、導線が深いといった理由で、ユーザー自身でたどり着けない場合があります。

さらに、ナレッジが部門ごとに点在すると、同じ内容が重複したり最新情報がわかりにくくなったりして検索性が低下し、自己解決率の向上につながりません。検索性を高めるには、文書フォーマットの統一、用語の表記揺れ対策、短い手順の提示、定期的なナレッジの棚卸しなどが重要です。

生成AIの導入により、自然言語の問いを起点に関連情報へ案内できます。要約や手順化も可能なため、ユーザーを自己解決に導くのに有効です。ただし、情報の参照元が整っていないと回答品質が不安定になるため、ナレッジ運用(更新・承認・責任分界)とセットで設計する必要があります。

コスト削減とEX(従業員体験)の両立が求められている

問い合わせ対応の効率化は、単なる工数削減ではなく、待ち時間やたらい回しを減らして業務停止時間を短くすることが重要です。担当者側も、同じ質問への反復対応や緊急対応が積み重なると疲弊してしまうでしょう。加えて、業務の属人化や引き継ぎの負荷、離職リスクも高まります。

人材や予算が限られている現場ほど、増員で対応するよりもセルフサービスを整備して少人数で回る状態を作るほうが現実的です。FAQやナレッジベースなどのセルフサービスは、コストを抑えつつ柔軟でスケーラブルなサポートにつながります。

ナレッジが現場で活用され、更新が継続的に行われる仕組みを整えることで、対応品質が安定し、教育コストや引き継ぎの負荷も抑えやすくなります。

生成AIは、回答案の作成からログ要約、傾向抽出までを支援し、担当者の負担を軽減しながらEXを改善するのに寄与します。ただし、ツールの導入で終わらせず、ナレッジの品質と利用状況を追跡しながらデータと運用の見直しを継続していくことが前提です。

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ヘルプデスクの効率化を阻む3つの構造的課題

ヘルプデスクの効率化が進まない背景には、問い合わせ件数の増加やナレッジの陳腐化、運用データの分散など、現場の努力だけでは解消しづらい要因があります。ここでは、ヘルプデスク業務を停滞させやすい3つの構造的課題を説明します。

問い合わせの増加が、一次対応をひっ迫させている

テレワークやSaaS利用の拡大に伴う問い合わせ件数の増加と内容の多様化により、一次切り分けに必要な確認作業の負担も大きくなっています。問い合わせ件数が多い状態が続くと、担当者は目の前の対応に忙殺され、回答品質のばらつきや対応遅延が起きやすくなります。

さらに、電話・メール・チャットなど問い合わせ窓口が分散すると、状況把握や管理が難しくなり、取りこぼしや二重対応も発生しがちです。一次対応がひっ迫すれば、FAQ整備や原因分析などの改善業務が後回しになり、延々と問い合わせが減らない悪循環に陥ります。

ナレッジが整備されず、自己解決・一次解決が伸びない

クラウドや業務アプリケーションの更新、社内ルール変更によって手順が頻繁に変わり、マニュアルやFAQの更新が追いつかない現場もあるでしょう。結果的に応急措置的な対応が増え、自己解決につながる情報資産が蓄積されにくくなります。古い情報が残っていると誤案内や手戻りが増え、一次解決率も伸びにくくなります。

また、文書構造やタグ、カテゴリーが整理されていないマニュアルやFAQでは、ユーザー自身で適切なナレッジを見つけるのは困難です。運用ルールと検索性をよく検討し、現場で使われ続ける仕組みを整えることが求められます。

振り分け・引き継ぎとデータ分散が改善サイクルを止める

問い合わせを一次対応で解決すべき範囲と専門部門へ渡す基準が不明確だと、振り分けと引き継ぎがうまく機能せず、たらい回しや手戻りが増えます。加えて、優先度の判断軸が統一されていなければ、重要案件の取りこぼしやSLA逸脱(対応期限超過)も起きやすいです。

また、問い合わせ履歴や対応状況が複数のチャネルに分散しており、全体の進捗と傾向を把握できず、改善の優先順位を決められない現場もあるでしょう。ナレッジの利用状況や品質の評価になかなか手が回らず、更新や整理が後手になりがちな場合は、改善サイクルも停滞しやすいです。

ヘルプデスク業務へのAI導入のポイント

生成AIは導入するだけでは効果が出ません。どの業務をAIに任せ、どこを人が判断するかを決めたうえで、参照データの管理方法や処理手順、承認、ログの記録といった運用ルールを整える必要があります。ここでは、省力化と標準化の両立、生成AIの得意・不得意を踏まえたガードレール設計、およびAIエージェントによる業務の高度化について解説します。

省力化と標準化の両立

① 省力化

生成AIを活用して、繰り返し発生する単純作業の負担を軽減することが、省力化のポイントです。類似する質問への回答は生成AIに任せ、担当者は確認と最終判断に集中できる状態をめざします。

また、生成AIによって問い合わせ内容を要約し、端末や利用環境、症状などの必要情報を抜き出して初動対応にかかる時間を短縮することも可能です。過去チケットや社内手順書の横断検索から回答案や確認観点を提示させることで、調査と転記にかかる手間を減らせます。クローズ時の記録(対応内容、原因、再発防止策)を定型化して、対応履歴の品質を揃えるのにも役立ちます。

② 標準化

対応品質を個人の経験やスキルに依存させず、どの担当者でも一定水準の対応が実現できる状態を作ります。テンプレートと表現ルールを定め、生成AIの回答ドラフトにも同じ基準を適用することで、ユーザーの違和感を抑制可能です。受付と記録、分類、優先度判断、エスカレーションの基準を手順として明文化し、ガイダンスに組み込みます。

標準化では頻出・定型の範囲から進めていき、例外処理は生成AIではなく人が担う設計にするのが基本です。承認者、出力範囲、監査ログの残し方まで運用ルールとして定義しておくと現場の迷いも少なくなるでしょう。

生成AIの得意・不得意領域の把握とガードレール設計

生成AIは文章生成だけでなく、要約や分類、検索結果の整理、手順の書き換えなどの言語処理が得意です。一方で、出力が正しいかどうかの最終判断や、規程や権限に関わる可否判断、機微情報の扱いの判断については、生成AIに一任してしまうとリスクがあります。そこで、ガードレールとして運用の境界を具体化することが重要です。

まず、AIが参照してよい情報源を決め、最新版の所在と更新ルールを整えます。回答は根拠となる参照元をたどれる形で作り、重要な判断が伴う場合には担当者の承認を前提とするべきです。個人情報や機密情報の区分とアクセス権限、ログ保存、持ち出し不可情報をルール化し、入力と出力の監視やマスキングを組み合わせます。さらに、外部からの不正な指示で意図しない出力や操作が起きないよう、プロンプトインジェクションを想定した入力制御、参照データの管理、出力検査を実装します。

ヘルプデスク業務におけるAIエージェントの有効性

AIエージェント(エージェンティックAI)は、目的に沿って状況を把握し、必要な手順を組み立ててタスク実行まで支援するAIです。ヘルプデスク業務では追加質問で情報を揃え、ナレッジや過去チケットを参照して原因候補を整理し、起票、分類、割り当て、回答ドラフト作成までを一連でつなげられるよう支援します。

ただし、実行を伴うほどAIエージェントの影響が大きくなるため、権限連動や監査ログ、例外時のエスカレーション、人の最終承認などを組み込み、安全性を考慮して設計したほうがよいでしょう。

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AI活用でヘルプデスク業務を効率化する3つの施策

ヘルプデスク業務を効率化する方法は

  • ①問い合わせを減らす
  • ②対応スピードを上げる
  • ③データ管理をしやすくする

の3つの施策に集約できます。

運用データの分散や属人化を残したままでは改善サイクルがうまく回らないため、上記の3つの施策をセットで設計することが重要です。

施策①問い合わせを減らす:自己解決率の向上

・AI活用前にやるべき基盤整備

自己解決率を上げるには、「探せるナレッジ」と「迷わせない導線」を念頭に置いて情報基盤を整備します。

まずはFAQの整備です。重要度が高いカテゴリー(アカウント、端末、ネットワーク、業務アプリケーションなど)からFAQを作成し、タイトルやタグには、言い換え・略語・表記揺れといった質問文のゆらぎも織り込みます。回答は前提、手順、注意点を同じフォーマットで記述し、更新判断に使える根拠や条件も残すとよいでしょう。検索語や閲覧ログを見て、見つからなかったワードや離脱点を定期的に洗い出す作業も必要です。

次に導線設計を行います。問い合わせの入口をポータルやチャット、フォームなどへ分散させず集約します。また、問い合わせ前にFAQへ誘導して、自己解決できるステップを挟むようにすることも重要です。サービスカタログを並べて、申請や権限付与、貸与、障害の一次切り分けなどを選ぶだけで必要な情報が揃う形にします。フォームは症状、影響範囲、利用環境などに入力項目を絞って標準化することで、聞き直しやたらい回しの発生を抑えます。

・生成AI×社内ドキュメントで自己解決を促進

RAG*を使う場合は、参照元となる手順書・規程・既知不具合・申請ルールを洗い出し、最新版の所在を一本化します。文書は章や手順単位で区切るなどして検索しやすい形に整え、権限に応じて見せてよい情報だけを参照対象にします。例えば「社内限定」「部門限定」といった切り分けを行うイメージです。

回答は「参照元」「手順の要点」「次に確認すべき事項」をセットで示し、根拠と行動がつながるようにします。参照元が更新されたら回答も追随できるよう、更新責任と承認の流れを決めておきます。

*RAG:検索拡張生成。LLM(大規模言語モデル)を用いて、関連ドキュメントにもとづいた回答を生成する技術を指す。

・チャットボットの正しい位置づけ

チャットボットは、固定手順を確実に処理するシナリオ型と、症状の聞き取りや関連資料の提示を担う生成AI型で役割分担します。入口は会話でも、出口はサービスカタログ・申請・チケット化へ接続する設計にし、ユーザーが迷わないよう配慮します。

施策②対応スピードを上げる:一次解決率とMTTR(平均解決時間)の改善

・生成AIの回答支援で対応時間を短縮

一次対応の文章作成と調査を生成AIで支援し、対応時間を短縮することで、一次解決率の向上につながります。過去チケット、手順書、既知不具合を横断的に参照して回答ドラフトを作り、結論、確認事項、手順、注意点、エスカレーションの順で統一するのが効果的です。

担当者は根拠の確認と微修正に専念でき、検索と転記に費やす時間を削減できます。本人確認や端末情報、再現条件など定型の確認質問もテンプレート化すれば、聞き漏れも減らせるでしょう。

・トリアージ設計(問い合わせの優先度付け・振り分け)の標準化

トリアージ設計では、緊急度と影響範囲の判断軸を明文化し、入力項目として揃えることが有効です。業務停止の有無、復旧期限、代替手段の有無など判断材料を同じ順序で集めると、優先度判定の精度が高まります。「誰に」「いつ」「何を添えて引き継ぐか」を決めて手戻りと滞留を抑え、MTTRの短縮を図ります。

・類似事例検索の高度化

類似事例検索により、問い合わせ本文の要約とタグ付けで手がかりを増やし、意味検索(セマンティック検索)で言い換えも吸収できます。原因候補や暫定回避策、恒久対応、参照チケットをセットで提示できると再利用しやすくなります。

施策③データ管理をしやすくする:運用の自動化と分析

・ナレッジ管理の自動化

受付からクローズまでの記録を揃え、運用の自動化と分析を行える状態にすると、データ管理が容易になります。クローズ後の対応内容を要約し、FAQ候補として質問文・回答・前提・注意点をドラフト化することで、ナレッジ化の負担も軽減できます。

既存データとの重複や矛盾を検知して差分案を出し、更新責任者とレビュー周期を決めて情報の陳腐化を防ぐことも重要です。検索ログのゼロヒット語や離脱点を根拠に改善バックログを作ると、利用状況に即したブラッシュアップが可能になります。

・インシデント分析と予兆検知

インシデント分析では、類似案件を束ねることで頻出原因と波及範囲を把握します。アラートやログ、チケットを突合して同時多発の共通項を可視化することも予兆検知に効果的です。最終的に、FAQ強化や申請フロー見直し、恒久対応といった再発防止策へつなげます。

・品質管理への応用

品質管理の観点から、手順の漏れや注意点不足、禁則表現の混入などがないかを点検し、根拠提示と最終確認者の承認を通じて誤案内を抑制する必要があります。個人情報や機密情報の混入を検知した場合は、マスキングや送信ブロックが機能するように設計します。

AIの効果を高めるための統合プラットフォームの優位性

生成AIで回答や分析を高度化するには、問い合わせ履歴とナレッジ、担当者の作業ログが分断されていないことが前提です。ここでは、ヘルプデスクへのAI活用における統合プラットフォームの強みを、窓口統合とワークフローの観点で説明します。

窓口とデータの一元化

メールやチャット、電話メモ、Excel台帳などに受付内容と対応記録が分散すると、同じ問い合わせが別ルートで重複し、対応状況の把握や引き継ぎに追加工数が発生します。さらに、ナレッジの参照先も複数に散っていると、同じ内容の重複登録や更新漏れが起きやすく、回答の根拠を揃えられません。

解決手段としては、窓口とデータベースを統合し、チケットや対応履歴、ナレッジ、ユーザー情報を1つの流れで紐づけて管理することが挙げられます。これにより、受付時点で必要な情報を揃えて記録でき、問い合わせの入口が変わっても履歴を同じ場所に集約可能です。

チャットボットについても、FAQだけを足す部分最適ではなく全体を包括して扱い、二重管理とサイロ化を避けるようにするとよいでしょう。統合プラットフォームで窓口、履歴、ナレッジを一体で扱うことで、回答品質の統一と改善サイクルの加速につなげられます。

ワークフローの標準化・自動化

受付から分類、対応、クローズまでのプロセスを標準化し、必要項目や判断基準をワークフローに組み込むと、誰が対応しても情報の欠落が減り、手戻りと滞留を抑えられます。優先度は緊急度と影響範囲の軸で定義し、エスカレーション基準や承認経路、担当割り当てを実装すると、判断のばらつきも小さくなります。

また、生成AIが起票や更新を支援しやすくなるように、実行先となるツールや権限、連携を整備しておくことも重要です。標準化されたログが残れば、生成AIによる分類支援や回答支援、ナレッジ化、傾向分析を同じデータ基盤で活用できます。これらの資産を最大限に生かすためには、部分最適を目的としたツール追加ではなく、一貫性のある基盤で統合管理することが、運用負担を抑えつつさらなる改善を後押しします。将来的にITSM*やITOM*への拡張や他システム連携を見据えているなら、運用統一が可能なプラットフォームを選ぶことが推奨されます。

  • *ITSM:ITサービスマネジメントの略。企業がユーザー(従業員や顧客)に提供するITサービスを管理する仕組みのこと。
  • *ITOM:IT運用管理の略。ITインフラや各種アプリケーション、サービスなどを安定して稼働させるために、IT部門が一元管理・運用するプロセスやツール、活動全般を指す。

ヘルプデスクAI導入のロードマップ

生成AIの導入は、いきなり全社展開をめざすよりも、段階的に根拠を積み上げるほうが社内説明をしやすく、定着までのハードルも下げられます。ここでは、ヘルプデスクに生成AIを導入するためのロードマップとして、現状可視化、データ整備、パイロット検証、KPI設定とPDCAの4ステップを解説します。

STEP1:現状可視化と業務の切り分け

最初に問い合わせデータを洗い出して、現状を共通認識にできるよう整理します。また、受付チャネルごとの件数や滞留を把握し、どこで処理が停滞しやすいかを特定することも重要です。アカウント、端末、ネットワーク、業務アプリケーション、申請などのカテゴリー設計や集計単位も統一し、データ処理の利便性を確保します。対応時間も、初動、切り分け、担当部門待ち、復旧確認などに分解すると、改善余地のある工程を把握しやすいです。

そのうえで、定型質問のような生成AI単独でも対応できる範囲と、権限判断や例外承認など人の判断が必要な範囲を切り分け、対象外の線引きやエスカレーション条件を先に決めておきます。

STEP2:データ整備とナレッジの棚卸し

次に、AIが参照するデータの整備とナレッジの棚卸しに取り組みます。既存のマニュアル、FAQ、申請規程、既知不具合情報を棚卸しし、最新版の所在と参照ルールを明確にします。文書は章や手順、注意点といった粒度を揃えて分割し、検索と参照で使える形に整理しておくとよいでしょう。用語のゆらぎは辞書化して、検索キーワードと回答文の表現にも反映させます。

回答テンプレートも用意して、結論、前提、手順、注意点を同じ構造で揃えると、ナレッジの再利用やレビューの作成などが行いやすいです。加えて、個人情報や機密情報の区分、アクセス権限、ログの扱いなどを運用ルールとして定義し、AIの参照範囲と出力範囲を権限に連動させます。更新責任者とレビュー周期を決め、更新が止まらないように設計します。

STEP3:パイロット部門での効果検証

データの整備とナレッジの棚卸しが進んだら、特定カテゴリー(例:パスワードリセット、PC申請、アカウントロック)に絞って効果検証を行います。特に、件数が多く定型度が高いテーマや、参照元の整備が完了しているテーマを優先するとよいでしょう。範囲と前提を固定したうえで、自己解決率、一次解決率、MTTR、エスカレーション率、ナレッジ作成工数など、評価指標を事前に定めておきます。

運用面では、最終確認者、例外時の扱い、根拠提示の方針、ログ保存の粒度を定義してから実装します。入口を統一し、チャットからサービスカタログ、申請、チケットへ自然に接続できるように導線を設計すれば、検証結果を比較しやすいです。結果は定量と定性の両面で整理し、全社展開時に必要な前提条件と追加投資の根拠までまとめます。

STEP4:KPI設定とPDCA

最後に、KPIを設定してPDCAサイクルを回す設計にします。主な指標は、自己解決率、問い合わせ件数、一次解決率、MTTR、再オープン率、エスカレーション率などです。例えば、根拠提示の有無、テンプレート準拠、手順漏れや禁則表現の検知結果などを運用基準に据えておくと、効率化と品質維持の両立に寄与します。

目標値はカテゴリー別に設定します。週次運用と月次分析、四半期の見直しといった形で、改善サイクルを定例化するのもポイントです。インシデントや問い合わせの振り返りでは、発生原因と再発防止策をナレッジに反映して、プロセス改善の施策へつなげます。ダッシュボードと改善バックログを残し、施策の優先度や効果を説明できるようにします。

AI導入でヘルプデスクの効率化を図ろう

ヘルプデスク業務において、生成AIの導入は一次対応とナレッジ更新を効率化するために有力な手段です。自己解決率・一次解決率を高めやすく、コスト削減とEX向上にもつながります。分類支援や類似事例の提示により、MTTR短縮と品質の平準化も可能です。

一方で本番化には、参照データの整備、精度改善を回す体制、権限・ログ・責任分界といった多方面のガバナンス設計が求められます。PoC(概念実証)後は、精度改善のチューニングや運用の内製化が課題になりやすいため、「窓口とデータの一元化」や「ワークフローの標準化・自動化」に強みがある統合プラットフォームも有力な選択肢です。

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