デジタルマーケティングソリューション
顧客体験(CX)を向上させる方法とは?注目される背景やメリットについて解説
近年多くの企業が注目しており、現代のマーケティング業界に欠かせない「顧客体験」をご存知ですか?顧客体験の向上は、商品・サービスの差別化や顧客ロイヤルティの向上を図るうえで重要な施策です。
今回は、顧客体験について、注目されている背景や向上させるメリットなどを説明します。また、カスタマージャーニーを活用して顧客体験を向上させる方法についても解説しています。
目次
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デジタルマーケティングソリューション
お客さまを中心としたマーケティングの取り組みに、各種プロダクトやサービスを効率的に運用。企業にも、消費者にも、価値を提供できるSIベンダーならではのデジタルマーケティングソリューションです。
顧客体験(CX)とは?
顧客体験とは、「顧客が商品・サービスに興味を持った時点から購入して利用しつづけるまでに、企業との間に生まれるすべての接点」と「企業との接点を体験した顧客からの評価」を示す言葉です。Customer Experienceの略称でCXとも呼ばれています。
顧客が商品・サービスを利用するまでには、オンライン・オフライン問わず企業との間に多くの接点が生まれます。例えば、広告で商品・サービスを知る、WebやSNSで商品・サービスの詳細や口コミを調べる、企業に問い合わせるなどさまざまです。商品・サービスによっては、手配期間や購入後のアフターケアなども含まれます。このように企業と顧客の間に生まれる一つひとつの接点を「顧客接点」と呼び、一連の顧客接点をまとめて顧客体験と呼びます。
近年では顧客体験が注目されており、多くの企業が重要視しはじめています。
また、顧客接点は、顧客体験とともに注目されている重要なポイントです。以下の記事では、顧客接点とその強化方法についてまとめています。
>顧客接点(タッチポイント)とは?強化すべき理由と3つの強化方法を紹介
UI/UXとの違いは?
顧客体験と似ている言葉にUIとUXがあります。
UI(User Interface/ユーザーインターフェースの略称)は、商品・サービスの見た目や機能性など「ユーザー(顧客)との直接的な接点」を意味する言葉です。
例えばWebサイトのUIは、レイアウトや文字のフォント、ボタン、入力フォームなど、ユーザーが目にするもの・操作するものすべてを指します。
UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンスの略称)は、「ユーザー(顧客)が商品・サービスを利用して得られる体験」を意味する言葉です。
例えばWebサイトのUXは、「デザインが可愛いくて好印象」「操作がしやすくストレスを感じにくい」「情報量が適切でわかりやすかった」など、Webサイトの利用を通じて得た感動や印象を指します。
顧客体験は、顧客が商品・サービスに興味を持った時点から利用中の接点・体験を指すのに対し、UI/UXは商品・サービスを利用しているときの接点や体験を指します。
つまり、UI/UXは顧客体験に比べて示す範囲が限定的であると同時に、顧客体験の要素の一部であることがわかります。
顧客満足度との違いは?
顧客体験と似ている言葉には顧客満足度も挙げられます。
顧客満足度(CS/Customer Satisfactionの略称)とは、顧客が商品・サービスの購入時や利用時に感じた満足感を数値化したものです。一方、顧客体験は、すべての顧客接点とそれによる顧客の感情的な評価を示します。つまり、顧客体験を通じて得られた顧客の満足感を数値化したものが顧客満足度です。
顧客体験が注目される背景
顧客体験が注目されている背景として考えられる、4つの理由について説明します。
スマホやPCによる影響
スマホやPCの普及により、現代ではほとんどの方が自身のモバイルデバイスを保有しています。WebサイトやSNSの利用が一般化しているため、顧客は、商品・サービスの情報収集や企業と交流を図ることが手軽になりました。
このように、ネット環境が身近になったことで企業と顧客の距離感が縮まり、顧客接点が増加しているため顧客体験の重要性が高まっています。
また、情報の受信だけでなく情報の発信も容易にできるようになったため、顧客の拡散力は高まり続けています。そのため、企業側は良質な顧客体験を提供することを重要視しているのです。
マーケティングシステムの多機能化
IT技術の進展によって、マーケティングシステムは多機能化しており、顧客の個人情報や趣味嗜好、ライフスタイル、流入チャネルなど、顧客に関するさまざまな情報を詳細に収集できるようになりました。取得した情報を活用することで、良質な顧客体験の提供が実現可能になっています。
このように、一人ひとりのニーズに合った体験を提供して顧客体験を向上させることが、競合との差別化を図る方法として企業に定着しはじめているのです。
体験を重要視する顧客の増加
現代では、モノづくり業界の成熟化が見られていることもあり、商品・サービスの機能や内容だけでは競合との差別化を図ることが難しくなっています。
その影響もあって顧客の消費活動は変化しており、「コト消費」の浸透や「トキ消費」へのシフトが見られています。コト消費とは時間やお金を消費した対価として経験を得ることで、トキ消費とは限定的なときや場所でしかできない体験を重視することです。
このように、商品やサービス自体の価値よりも“それを通して得られる経験”に価値を感じる人が増加傾向にあるため、顧客体験は重要視されるようになったのです。
継続利用を重視したビジネスモデルの増加
最近では、従来主流であった買い切りのビジネスモデルとは異なり、サブスクリプション型や動画・音楽配信など、定額料金を支払うことで継続的に利用できるタイプの商品・サービスが増加しています。
このような商品・サービスは、顧客が必要ないと判断すれば手軽に契約解除できるため、顧客に長く商品・サービスを愛用してもらうために、企業側は顧客体験の向上や顧客との良好な関係性構築を図るための施策の考案が重要になっています。
顧客体験向上によるメリット
顧客体験の向上とは、すべての顧客接点において顧客に優れた経験価値を提供することです。顧客接点では、以下5つの経験価値を顧客に提供できます。
●Sense(感覚的価値):五感を満足させる
●Feel(情緒的価値):感情を満足させる
●Think(知的価値):知的好奇心を満足させる
●Act(行動やライフスタイルにかかわる価値):行動やライフスタイルに影響を与えて満足させる
●Relate(社会的経験価値):特定の集団に属することで満足させる
優れた経験価値の提供によって、期待できる4つのメリットについて説明します。
顧客ロイヤルティの向上
顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや商品・サービスに対して、愛着や信頼を感じることを意味します。つまり顧客のファン化のようなものです。
良質な顧客体験から優れた経験価値を得ることで、顧客ロイヤルティを向上させることができます。顧客ロイヤルティの向上は、リピート率や顧客単価の増加が期待できるため重要な施策です。
以下の記事では、顧客ロイヤルティ向上について具体的な施策や事例を紹介しています。
>顧客ロイヤルティとは?顧客ロイヤルティ向上施策&事例を徹底解説!
売上向上
顧客体験向上によって顧客ロイヤルティを高めることで、ロイヤルカスタマーの増加とともに売上の向上が期待できます。「1:5の法則」や「パレートの法則」と呼ばれる法則があるように、売上への貢献度が高い既存顧客は、企業にとって重視すべき存在です。
1:5の法則は「新規顧客の獲得には、既存顧客維持の5倍のコストがかかる」ことを意味します。
パレートの法則は「顧客全体の2割のコアユーザーが、売上の8割に貢献している」ことを意味します。
このように、新規顧客獲得にかかるコストを抑え、コアな既存顧客を増やすことで売上の向上が期待できるのです。
競合との差別化
先述したように、現代のモノづくり業界においては、商品・サービスそのものだけで競合との差別化を図ることは難しくなってきています。
優れた経験価値を提供することで、商品・サービス自体の価値に付加価値が生まれるため、競合との差別化を図ることができます。
ブランドイメージの向上
良質な顧客体験の提供により、ブランドに対するポジティブなイメージを構築することができます。
現代の顧客は情報発信が容易になったことで、価値のある体験を積極的にシェアする傾向が見られます。口頭やSNSなどで良質な口コミを広く発信してくれることで、ブランドの認知度や信頼度向上につながり、社会的なブランド価値を高める効果が期待できます。
また、口コミによる宣伝効果で、広告費をかけずに新規顧客獲得も期待できます。
顧客体験を向上させる方法(カスタマージャーニーの活用)
顧客体験を向上させるための具体的な方法を紹介します。
今回紹介するのは、カスタマージャーニーを活用した方法です。
カスタマージャーニーについて説明し、実践するために必要なステップを解説します。
そもそもカスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーとは、顧客体験における一連の顧客接点を可視化・分析することで、すべての顧客接点における経験価値の向上を図る方法のことです。
「可視化」では一連の顧客接点を時系列順に書き出し、「分析」ではそれぞれのポイントでの顧客の行動意図や感情などを細かく分析します。このように顧客理解を深めることで、顧客一人ひとりに合ったマーケティング施策を実現させます。
顧客が商品・サービスを認知、購入、利用、継続・再購入するまでの一連の体験を「旅」に例えたことからカスタマージャーニーと呼ばれています。また、カスタマージャーニーの設計に用いる表をカスタマージャーニーマップと呼びます。
カスタマージャーニーの設計に関して、以下の記事で詳しくご紹介しています。
>カスタマージャーニーとは?作成するメリットやマップの作り方を解説
STEP1.現状把握
まずは、顧客のペルソナ・提供できる経験価値・顧客接点を明確にして、自社が「どのような顧客とどんな接点があり、どのような経験価値を提供しているのか」を把握します。
このタイミングで、あまり稼働していない・成果のないチャネルの継続を検討するなど、チャネルを整理することもおすすめです。
洗い出した情報は、時系列順にカスタマージャーニーマップにまとめて可視化します。
STEP2.課題の抽出
次に、カスタマージャーニーマップと実際の顧客情報を照らし合わせて課題の抽出をおこないます。
すべての顧客接点において、顧客からの問い合わせ履歴やリアルな声、評価を数値化したデータなどをまとめ、顧客の行動心理や思考を考察します。その結果から、プロセスごとの課題を徹底的に洗い出しましょう。
また、顧客接点が十分に足りているか確認し、必要な接点があれば増やすよう検討します。顧客接点を増やす際は、前後の接点における顧客行動・評価から課題を事前に予測し、優れた経験価値を提供できる施策を考案しましょう。
STEP3.改善策を実践する
課題に対する改善策を考案して実施します。このとき重要なのは、「顧客ごとに行動データを把握すること」「PDCAサイクルを循環させること」です。
顧客ごとに行動データを把握する際は、CRMなどの支援システムを活用することで、顧客一人ひとりの詳細な情報を効率的に収集・分析することができます。CRMをまだ導入していない企業は、導入を検討することをおすすめします。
以下の記事では、CRMの基本機能や導入目的などを紹介しています。
改善策を実践したあとは、効果検証・フィードバックをおこない新たな改善策を実施、効果検証をするといったようにPDCAサイクルを繰り返すことが重要です。
適切にPDCAサイクルを循環させることで、施策の効果を高めることができます。
まとめ
今回は、顧客体験についてまとめました。顧客接点の増加や顧客の拡散力向上などによって、現代のマーケティング業界において顧客体験は重要視されるようになりました。顧客体験の向上を図ることで、競合との差別化やブランド力向上などさまざまな成果が期待できます。
日立ソリューションズでは、企業とお客さまの良質なコミュニケーションサポートのため、「デジタルマーケティングソリューション カスタマーエクスペリエンス」「デジタルマーケティングソリューション カスタマージャーニー」を提供しています。顧客体験の向上についてご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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